今回は2名の投稿者の複数掲載とさせて頂きます。
【前回までのあらすじ】
沢田百々子、45歳。恩田正平に拉致され、車の中で監禁される百々子。ただ、時間を共有することで百々子は正平と一緒に警察の包囲から逃げることを決意する。サンフランシスコからパースに渡ったのが30歳の時だった。15年の時を経て、百々子が探し求めてきた本当のものをやっと手にすることになるのだろうか?!
沢田百々子、45歳。恩田正平に拉致され、車の中で監禁される百々子。ただ、時間を共有することで百々子は正平と一緒に警察の包囲から逃げることを決意する。サンフランシスコからパースに渡ったのが30歳の時だった。15年の時を経て、百々子が探し求めてきた本当のものをやっと手にすることになるのだろうか?!
第46走者
匿名希望
大きな衝撃を受ける後部座席の百々子。
パースのHay Streetにあったバックパッカーズに一歩足を踏み込んだ時のあの空気感がよみがえった。動物的で刺々しく、攻撃的な新鮮さがあった。若さゆえに不安定さも感じたが、それがオーストラリアという国なんだと直感した。アメリカから来た百々子にとっては、その直感はワクワクにしかならなかった。失恋を経て、新し生活の場をオーストラリアのパースに選んで、改めて幸せを感じていた。ゆっくりとした時間の流れの中にも未完成なうごめく何かが背中を押していたが、そのバランスが何とも居心地よかった。
Mt Lawleyのカフェが行きつけになり、そこでの時間も百々子にとっては大切だった。来る客は何が大切なのかをみんな分かっていた。その何を共有できるからこそ、あの場所が百々子にとっての癒しの空間になった。止まっているかのような時間の中、あそこでも未完成な熱気を心地よく感じていたのを思い出す。
そんなパースの生活は百々子の心を支えていた。しかし、正平との再会もパースだった。もちろん、正平は百々子を追ってパースに来ている。百々子にとっては偶然だったが、日本社会が生んだ被害者としてのストーカー、正平にとっては狙い通りだった。
第47走者
モモコ
百々子です。道の凹凸がはっきり身体に伝わってきてました。ゆっくり動き出した車に無数のパトカーのヘッドライトが照射されているのをなぜだか空からも見えていました。自分の生気が宙に舞い、その場を包み込むように俯瞰で見えていたのです。不思議な感じでした。パトカーは9台、警察官は20人以上はいたでしょうね。みんな拳銃を片手に車や建物の陰に身を潜めていました。
動き出す車に驚きを見せ、車の進行方向にいた警察官たちは足早に移動しました。スピードを上げる車に一人の警察が大声を張り上げた途端、車の前に何かが飛び出してきました。車の中の私も見えてはいましたが、それが何かは分かりませんでした。空からの私も、何が起きたのかはかり知れませんでした。
ただ、衝撃だけは感じたのです。
第48走者へ続く
【投稿募集】
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