【前回までのあらすじ】
沢田百々子、30歳。恩田正平の奇行はストーカーへと変貌。そして、恩田は犯罪者として刑務所に入った。それから15年の月日が流れた。
第21走者
筆者:石橋
15年の歳月が心を癒した。そして、Risaのいるサンフランシスコの国際空港に降り立った。自分もこの街には3年間いた。吸い込む空気が、なぜか懐かしさを呼び起こす。ただ、恩田もいたサンフランシスコなんだと改めて思うと、よくここまで気持ちの整理をつかせ、ここへ戻ってこれたと思う。ショックのあまり、精神障害を患って病院への入退院を繰り返した。辛い日々を乗り越えて、今の自分がいる。もう、あそこには戻りたくない。
ホテルまでタクシーで移動した。Risaとの待ち合わせは、ホテルのロビーで。それまで、1時間ほどあったので、ホテルの周りを軽く散歩した。街並みは、15年前とさほど変わっていなかった。部屋に帰り、簡単にシャワーを浴び、お土産を袋にまとめてロビーへ向かった。
壁沿いに置かれた茶色の皮のソファーにアジア人らしき男女のカップルが座っていた。百々子の視線を感じたのか、女性が顔を上げる。その顔は、幾分丸くなったRisaだった。そして次の瞬間、顔を上げた隣の男性に、遠い記憶を無理矢理引っ張り出されたような強烈な不快感を感じ、目の前が真っ暗になった。その後のことは覚えていない。
第21走者へ続く
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