文：Kisaki Moto 写真：Kisaki Moto／Jane Brook Estate Wines 編集：The Perth Express
オーストラリアにいて驚くことの一つは、ワインを飲む機会の多さです。オージーは週末になれば日中から飲むなんて日常茶飯事。家族やお友達との団欒の食事には、必ずといって良いほどワインが並びます。「ワインはよく分からないから何でもいいや…」では、もったいない！私たちの身近にあるワインをもっと楽しんでみてはいかがですか？
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私がお届けします！ Kisaki Moto（本 輝咲） オーストラリアワイン・ライター（プロフィールはこちら） |
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西オーストラリア州のワインの産地
オーストラリアの中でも今、世界中から注目が集まるワインの産地、西オーストラリア州。その西オーストラリア州内で、大きく分けて4つのワインの産地があります。「スワンバレー（Swan Valley）」「パースヒルズ（Perth Hills）」「マーガレットリバー（Margaret River）」「グレートサザン（Great Southern）」がその4つ。“土壌”“気候環境”“人の手”がワインの味を左右する三要素ですが、全てが完璧に揃った各所のワインのクオリティは、世界に通づるものです。その土地の特徴を表すワインは、同じ西オーストラリア州にあっても4つの産地によってそれぞれの違った特徴があり、それが見事に表現されています。
燦燦と照り付ける日差しが美味しいブドウを作り出す。
Jane Brook Estate Winesとは
スワンバレーを含む西オーストラリア州の4つの産地は、オーストラリア全土においても最も古いワインの産地となっています。そのスワンバレーのワインの歴史は、180年以上にもなると言われています。他の産地と比べ、暑くて強い日差しと極端にドライな環境が害虫を寄せ付けず、ブドウ栽培に大きな利益をもたらします。通常、ブドウの樹の樹齢は10年～20年前後。ところが、スワンバレーのワイナリーを訪れると、古木の多さに驚かされます。
パースシティから車で約30分の「Jane Brook Estate Wines」。
今回ご紹介する、そのスワンバレーに位置する『Jane Brook Estate Wines』には、樹齢72年にもなるシラーズの古木が今もなお、素晴らしいブドウを実らせています。樹を健康で良い状態に保たなければ美味しいブドウは実りません。古木を維持し、その樹に実るブドウで造り続けるワインからは、Jane Brook Estate WinesのAtkinsonファミリーの並々ならぬ努力や情熱、愛情が感じられます。この畑に初めてブドウが植えられたのは1940年頃。1972年に現在のオーナー、David さんとBeverleyさんが結婚を機にこの畑を買い取り、Jane Brook Estate Winesをスタートさせました。現在、彼らの所有するスワンバレーの畑で育つブドウは、シラーズ（Shiraz／ブドウ品種）のみ。何十年もかけてDavidさんが古木からクローンを作り、畑を全てシラーズに変えました。素晴らしい遺伝子を持つ古木から新しい樹の誕生へ注ぐ情熱は、確かなものです。「樹齢の若いワインと古いワインにどのような違いが現れるのか？」の質問にDavidさんは「樹も人間と同じ。歳を重ねるごとに経験を増し香りと味わいに深みが滲み出ます」と。樹齢の若いシラーズは、カベルネソーヴィニヨン（Cabernet Sauvignon／ブドウ品種）などとのブレンド品種として使用するそうです。樹齢の違いをテイスティングできることも、このワイナリーの大きな魅力の一つです。
輝咲さんを挟み、Jane Brook Estate WinesのオーナーのDavid Atkinsonさん（右）とBeverley Atkinsonさん（左）。
Jane Brook Estate Winesのおすすめのワイン
セラードアでは、現在12種類以上*のテイスティングが可能。これだけあれば、必ず自分のお気に入りの一本が見つかるはずです。その中で、必ず試してみてほしいのがコチラ。
*テイスティングできるワインは、時期により異なります。
Jane Brook Estate Wines Back Block Shiraz 2014
ジェイン ブルック エスティト ワインズ バック ブロック シラーズ 2014
スワンバレーの歴史を感じながら飲んでもらいたい一本。ワイナリーの敷地内に佇む畑で育った樹齢72年のシラーズのみ使用して、丁寧に造られたシラーズ。色の濃さやスパイスをしっかり感じるシラーズとは打って変わり、色合いの軽やかさと香り、味わいの奥深さが感じられます。また、一本のボトルを開けた瞬間から飲み終わるまでの味の変化にも驚かされるでしょう。これこそが、樹齢72年の樹が持つパワーなのかもしれません。今飲んでも良し、10年後飲んでも良し！
Jane Brook Estate Wines Margaret River Sauvignon Blanc Semillon 2016
ジェイン ブルック エスティト ワインズ マーガレットリバー ソーヴィニヨン ブラン セミヨン 2016
スワンバレーの畑は、一番良いシラーズが育つと信じて全てシラーズに植え替えてしまったAtkinsonファミリーは、マーガレットリバーにも畑を買い、他の品種を育てています。オーストラリアの名高いワイン評論家、ジェームス・ハリデー（James Halliday）から95点の評価を得たこのSauvignon Blanc Semillon。フレッシュライムやレモンの爽やかな香りと共に飲むと後味にハニーレモンのようなチャーミングな味わいを残してくれる、とっても飲みやすい白ワインです。
セラードアを訪れると
見所たくさんのセラードアで、絶対に見逃してほしくないのが、小さいな秘密の扉（下写真右奥）。扉の奥にはJane Brook Estate Wineの歴史が感じられる古いヴィンテージのワインがずらりと並びます。時間の経過とともに人々の記憶に残るワイン。古いワインを開けた瞬間に、当時の記憶や思い出が蘇るように、ワインは思い出に彩りを与えてくれます。
セラードアの奥にある小さな扉の中には歴史がいっぱい詰め込まれている。
心もお腹も満たしてくれるJane Brook Estate Wines
セラードアの横に、彩り溢れる食べ物がぎっしり詰まったショーケースが並びます。ここでは、ホームメイドのメディタリニアン・ランチが楽しめます。また肌寒くなり始めたこれからの季節にピッタリな冬限定メニューも！ホームメイドパイwithトマトチャットニー。パイは2種類、ビーフマッシュルームレッドワインとローストチキンベジタブル。セラードアでテイスティングして気に入ったワインがあれば、そのままランチと一緒に楽しめます。
ワインだけではなく美味しい食事も楽しめる。
自慢のパイはもちろん手作り。
西オーストラリラ州のお土産… 迷ったらコレ！
Jane Brook Estate Wines Sparkling Gold
ジェイン ブルック エスティト ワインズ スパークリング ゴールド
さすが、ワイン造りに変化を恐れない国、オーストラリア。なんと、23カラットの西オーストラリア州で取れた金箔を入れたワイン。ピュアな金箔を使っているからこそ、ワインの味わいを一切邪魔することなく、ワインをゴージャスに飾ってくれます。ソーヴィニヨンブラン（Sauvignon Blanc）とセミヨン（Semillon）を使用し、フレンチシャンパンと同じ伝統的製法でスパークリングワインを造り、最後に10年もののシュナンブラン（Chenin Blanc）のリキュールを加えた逸品。そうすることで、熟成したシュナンブランのハニーのような甘みとソフトでスムースな口当たりが表現できるそう。フルーティーで、ほのかに甘みを感じるとっても飲みやすいスパークリングワインです。お祝い事にはもちろん日本へ帰国する際のお土産にもぴったりの一本です。
思い出の一本になること間違いなし！
自分へのプレゼントに
Jane Brook Estate Winesのセラードアでは、お料理上手なオーナーのBeverley さんの手作りのお料理がたくさん並びます。その中でも、ついつい手に取ってしまうのが、彼女の手作りピクルス。お気に入りのワインを買って自宅でワインを開けるのがさらに楽しみになります。
オーナーのBeverley Atkinsonさんの手作りのピクルスやチャットニーは自分へのご褒美に！
Jane Brook Estate Wines
住所：229 Toodyay Rd, Middle Swan WA
電話：08 9274 1432
営業：毎日営業10am – 5pm
ウェブサイト：http://janebrook.com.au
Kisaki Moto （本 輝咲）
ワイン好きが高じて、2015年にオーストラリアへ移住。『WSET Wine Education』にてワインを学び、西オーストラリア州パース市内のFine Diningでソムリエを経験。現在はオーストラリアワイン・ライターとして、また日本へ向けたオーストラリアワインの輸出やレストラン・バーでのワイン販売をサポートするワインコンサルタントして活躍中。月に1度、パース市内にて日本人向けのワイン教室「Kisa’s Wine Education」を開催中。
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