
ホッケーのジュニア世代の育成を目的とした大会は、世界的にも限られている。その一つとして、2007年からオーストラリアのパースで開催されている『KMSB Youth International GRYPHON CUP(GRYPHON CUP)』は、将来のホッケー・スター選手にとっての登竜門となっている。その『GRYPHON CUP』が、今年も11月20日~11月23日にPerth Hockey Stadiumと、University of WA Superturfsにて開催された。
U15(15歳以下)の男女日本代表チームも参加している『GRYPHON CUP(グリフォン・カップ)』。大会規定では16歳以下となっており、地元オーストラリアやマレーシア、シンガポールや韓国からのチームも参戦する国際試合となっている。
大会3日目を迎えた11月22日(土)、リーグ戦の5試合目はマレーシアから参戦している『JM Hawks』との対戦。結果は、5-0で勝利した男子U15日本代表チーム。





試合後に男子U15日本代表のキャプテン
上町優仁選手にインタビュー

男子U15日本代表 上町 優仁(かんまち まさと)選手
富山県小矢部市立石動中学校ホッケー部 所属
質問:まず、たった今、終えたばかりの試合を振り返って頂けますか?
「昨日の4試合目で敗戦(対『BJSS Thunderbolts(マレーシア)』結果:2-1で敗北)してしまい、悔しい気持ちで臨んだ試合でしたが、みんなで頑張って勝つことはできて良かったです。」
質問:昨日の敗因は、チームのキャプテンとしてどうみていますか?
「第1クオーターで相手の速さと強さに圧倒され、動き出しが遅れたことかなと思っています。」
質問:個人的には?
「球際の速さが足りなかったので、相手に先に取られてしまったことが多かったかなと思います。」
質問:大会3日目ですが、どんなことを体験できていると思いますか?
「個人的に国際大会への参加は初めての経験で、1点の大切さ、1点の重みをすごく感じています。」
質問:これからまだ試合は続きますが、ご自身の目標は?
「自分は中盤の選手なので、ボールを前線に繋ぐところをもっと頑張りたいと思います。チームとしては(昨日の反省を踏まえて)、第1クオーターから100%の力で臨みたいと思います。」
質問:日本に帰国後、高校でもホッケーは続けると思いますが、その先は?
「大学、社会人でも続けたいと思っています。チャンスがあれば海外でも。それと、オリンピックにも出場したいと思っています。」
質問:ホッケーの魅力を教えて下さい。
「マイナーなスポーツと言われていますが、スピーディーな展開とチームメートが一丸となって戦う、団結力が必要なスポーツだと思います。その点は他のスポーツ以上かなと思います。」
最後に、パースやパースの人たちの印象を教えてください
「みなさん本当に優しいです。敵チームでも(実際に対戦していないときは)日本を応援してくれたり、ファミリーに思ってくれたり、フレンドリーな方が多いなと感じました。」
試合後に男子 U15 日本代表監督
曽根原龍太氏にインタビュー

男子U15日本代表 曽根原 龍太(そねはら りゅうた)監督
宮城県栗原市立築館中学校 所属
質問:先程の試合を振り返って頂けますか?
「選手が一丸となって、集中して戦い続けられたので、これだけの点数(5得点)が取れたのかなと思っています。」
質問:今回の、この大会の目標は?
「日本の中学生が経験する大会としては最も大きな大会なので、その大会で優勝できればいいのですが、この大会を通して日本のホッケーのレベルがもっと上がることが最終的な目標だと考えています。」
質問:今までの3日間を振り返って選手たちをどのように見られていますか?
「今年のチームは、特段目立った選手がいるというわけではないのですが、チームとしての一体感は過去にないぐらいあるので、このままメダル争いに絡んで、ぜひメダルを獲得して日本に持ち帰りたいです。」
質問:ジュニアユースという育成レベルの選手たちにこの大会を通して期待することは?
「日々成長かなと思っています。毎日いろいろなものを学んで、学習できているのかなと思うので、是非この大会からも様々なことを吸収して、日本に帰って更に成長してもらうことが我々の一番の楽しみだと思っています。」
質問:最後に、ホッケーの魅力は何だと思いますか?。
「他のスポーツに比べて、スピードは一番速いかなと思っています。あとは、熱狂的なファンが多いと思います。熱くなれるスポーツとえば、ホッケーだと思います。」
4戦して3勝1引分けの無敗で迎えた11月22日(土)のリーグ戦5試合目。マレーシアから参戦している『SSN Predator』と対戦し、結果は5-0で勝利した。





試合後に女子U15日本代表のキャプテン
酒井雪乃選手にインタビュー

女子U15日本代表 酒井 雪乃(さかいゆきの)選手
綾川ホッケークラブ 所属
質問:先程の試合を振り返って頂けますか?
「チームの目標にしている“良い守備から良い攻撃へ”というかたちが後半はできたので、守備から攻撃への連携がうまくできたかなと思います。」
質問:個人的にはいかがでしたか?
「試合中、ちょっと疲れが出て昨日の試合より走る距離が落ちてしまったので、次の試合では挽回したいと思ってます。」
質問:今回のパースへの遠征には、どのような意気込みで臨んでましたか?
「行くからには、選考会で落ちてしまった人の分まで背負って、ちゃんと戦いたいと思って(パースに)来ました。優勝したいと思っています。」
質問:国際大会参加の経験は?
「初めてです」
質問:パースの印象はいかがですか?
「最初は日本と全然違って、“もう帰りたい、嫌だわ!”と思ってしまいました(笑)。ホテルも日本の方が良いなと思ってたんですが、なんか・・・だんだん変わってきて、ホテルの部屋も良く感じてきてます!景色も良いので、プレーする時にのびのびできる感じもしています!」
質問:今は中学3年生ですよね。まず、近い未来の目標を教えてください。
「来年、高校1年生のインターハイに出て、ベスト4以上に入ることと、日本代表のU18(18歳以下)に選ばれることです。」
質問:では、遠い目標は?
「さくらジャパンの一員になって、オリンピックで優勝することです。」
試合後に女子U15日本代表監督
山田享平氏にインタビュー

女子U15日本代表 山田 享平(やまだ きょへい)監督
和歌山県有田川町立吉備中学校 所属
質問:現時点で5試合戦いましたが、対戦チームの印象を教えてください。
「やはり日本とは違って、特にオーストラリアの選手たちはリーチが長いのでレシーブの差というのをすごく感じています。また、マレーシアのチームについては近年すごく力をつけてきているなという印象で、毎年毎年レベルが上がっていると感じています。」
質問:今日で大会3日目ですが、教え子たちをどのように見られていますか?
「一度も一緒にプレーしたことがない選手の集まりだったので、ぎこちなさや、なかなか意思疎通できてない部分もありましたが、日を重ねるごとにそういうことも克服し、そしてプレー面もすごく成長してきているのかなと思います。先程のゲームも5試合の中ではベストゲームだったと思いますし、これから先もよりよいゲームをしていって、優勝までつなげてもらえたらなと思います。」.
質問:現在、日本の女子のホッケーは世界的にどの位置にいるのでしょうか?
「実力的にはオリンピックに出場できると思いますが、そのオリンピックで勝てるかどうかというような状況だと思っています。」
質問:今回来られている選手たちは、2032年のオリンピック・ブリスベン大会に名を連ねられる選手たちですか?
「そうですね。この子たちが成長して、オリンピックで金メダルを取れるようにと思って、私たちもこの育成年代を指導させてもらっています。一昨年、このパースの大会に出場した中学生が2人、もう既に代表チームのさくらジャパンに入っているので、ここにいる子たちもそういった可能性が十分ある子たちです。しっかりここでの経験を活かして、次へ進んでもらいたいと思っています。」
質問:最後にパースの印象を教えてください。
「私は今回で3回目になりますが、パースの印象はもうすごくいい街だなと思ってます。自然も豊かですし、のびのびもできますし、(ここから)ちょっと行ったら都会もありますし。何より人がすごく温かいな、気候と同じように温かいなといつも思っています。」
ホッケー強豪国のオーストラリア。かつ、オーストラリア・ホッケー協会のハイパフォーマンスプログラムが西オーストラリア州を拠点に展開していることから、パースがホッケーのメッカとも言える。そのパースで開催されている『KMSB Youth International GRYPHON CUP(前身「Junior International Invitation Tournament FHE CUP」)』。世界的にもジュニア世代を対象にした国際大会は少なく、当大会は2007年から開催されている。
【2025年大会の参加チーム】 男女共に、オーストラリアの地元西オーストラリア州、オーストラリアのビクトリア州、マレーシア、シンガポール、韓国、そして日本からのチームが参加。
【大会開催期間】 2025年11月20日~23日
【試合会場】 Perth Hockey Stadium(パースホッケースタジアム)とUniversity of WA Superturfs(UWA Hockey Club)
【2025年大会日本代表の試合結果】
男子:5勝1敗のリーグ戦を経て準決勝へ。惜しくも2-1と決勝進出を逃すも、3位決定戦では1-1の末、2-1のシュートアウトで見事3位に輝く。
女子:4勝2引分けの無敗で準決勝に進むも2-0で惜敗。3位決定戦では0-0で決着がつかず、1-3のシュートアウトで涙をのみ、4位に終わる。
■『2025 KMSB Youth International GRYPHON CUP』閉会式&表彰式の模様

<閉会式では男女上位3チームの表彰式も行われた>

<熱戦を繰り広げた男女上位6チームが整列>

<多くの観客がスタジアムに詰めかけた>

<3位の日本代表チーム上町キャプテンの“Thank You!”の一言スピーチ。会場を沸かした>

<大会主催者からメダルを授与される日本代表の選手たち>

<見事3位に輝いた男子U15日本代表の選手たち>

<胸に輝く 『GRYPHON CUP』 3位のメダル>

<男子優勝チーム 『The Stars(西オーストラリア州)』>

<男子準優勝チーム 『The Highlanders(西オーストラリア州』)>

<女子優勝チーム 『The Stars(西オーストラリア州)』>

<女子準優勝チーム 『Sekolah Sukan Tunku Mahkota Ismail / SSTMI(マレーシア)』>

<女子3位チーム 『The Highlanders(西オーストラリア州)』>

<メイン会場となったPerth Hockey Stadium(パースホッケースタジアム)>

<会場には大会参加チームの国旗が掲げられた>
<大会を主催する 『GRYPHON』のショップ「The Republic of Hockey」>

<「The Republic of Hockey」では大会のオリジナル商品が販売された>
国際ホッケー連盟(Federation Internationale de Hockey)の世界ランキングでは、日本A代表男子は18位、女子は11位(2025年11月現在)。オリンピック出場は、男子が2020年(2021年)東京大会の開催国出場枠を除くと1968年のメキシコ大会以来出場なく、女子は2004年から2024年のパリ大会まで6大会連続で出場している。今回の男女U15ジュニアユース日本代表の各選手は、2032年の当地オーストラリアで開催されるブリスベン大会も視野に、これからの日本のホッケー界を担う存在となる。



【情報元】
◆ Hockey Western Australia(www.hockeywa.org.au)
◆ KMSB Youth International GRYPHON CUP(https://www.hockeywa.org.au/compsevents/kmsb-youth-international-gryphon-cup)
◆ GRYPHON Australia(https://gryphonhockey.com.au/)
◆ 公益社団法人 日本ホッケー協会(https://hockey.or.jp)
◆ 国際ホッケー連盟/Federation Internationale de Hockey(www.fih.hockey)
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