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第49回全豪空手道選手権大会。在豪のオセアニア空手連盟公認審判員で唯一の日本人、松縄修一さん。

第49回全豪空手道選手権大会が8月25日から3日間に渡って、西オーストラリア州パースのGold Netball Centreで開催された。各州から集った精鋭たちが日頃の練習の成果を発揮したが、選手だけではなく日本人唯一の審判員も随所で公正かつ公平なジャッジで試合を引き締めた。

日本の琉球王国(今の沖縄県)が発祥とされる武術・格闘技の空手は、Tokyo2020(東京五輪/2021年7月23日~8月8日)よりオリンピックの実施競技に追加された。伝統派空手競技の国際競技団体、世界空手連盟(World Karate Federation/WKF)には190以上の国と地域が加盟し、競技人口は約6,000万人と言われている。ここオーストラリアにおけるKARATEも、武術の習得はもちろんだが、心身の育成や礼節の学習といった目的で子を持つ親が子どもたちを道場に通わせているケースも多い。

49回目を迎えた全豪空手道選手権大会(National Karate Championships)には、地元西オーストラリア州をはじめニューサウスウェールズ州やビクトリア州からも多くの選手が参加したが、クイーンズランド州からは選手ではなく審判員として当大会に足を運んだ人がいる。その人は、オセアニア空手連盟(Oceania Karate Federation/OKF)やオーストラリア空手連盟(Australian Karate Federation/AKF)の公認の審判員で、また日本の品川区空手道連盟でも公認審判員として活躍している松縄修一さん。今回は、松縄さんを中心に当大会を写真と共に振り返る。

協力・情報提供:西オーストラリア空手連盟(West Australian Karate Federation/WAKF)

 

審判員が待つ会場に選手たちは、各州ごとに行進して入場。トリを飾り、最後に行進・入場したのは地元の西オーストラリア州チームだった。

 

選手入場を拍手で迎え入れる松縄修一さん(写真上:右から3人目/写真下:左から2人目)。開会式終了後、コート1の審判席に着く前に、他の審判員と整列する。

 

架空の敵との闘いを演武で表現する「形」と、対面対戦形式の「組手」の2種で大会が行われた。写真(上の2枚)は男子の「形」の演武。

 

在パース日本国総領事館の内藤康司総領事も会場に応援で駆け付けた。西オーストラリア州チームの選手たちと記念撮影。また、初対面だった松縄さんとも挨拶を交わす。

 

スポーツ大国オーストラリアにおける武道や武術は人気も高く、中でも空手を通じて日豪間の文化交流も盛んに行われている。

 

演武や対戦を見守る視線は真剣そのもの。3日間通じて観客席は終日いっぱいだった。

 

「組手」は伝統派空手として寸止めルールで試合は行われる(写真上の2枚)。ウォーミングアップに余念のない、試合を控える選手たち(写真下)。

 

2019年まで西オーストラリア州空手連盟の会長を務め、東京五輪でも審判員を務めたDion Panossian氏。今回、西オーストラリア州での大会開催に際して中心人物としてオーガナイズした。松縄さんと競技の合間に談笑する。※2016年にパースエクスプレスでも同氏に取材している(頁下の【関連記事】にリンクあり)。

 

「組手」では、拳サポーターやヒザサポーターなどの安全具の着用が義務化されている。直接打撃はルール違反となるが、救護スタッフがコート内ですぐさま処置をすることもしばしば。

 

審判員として、また松縄さんと同じ道場で指導にあたるVesa Pekkarinen氏(写真上の左)。クイーンズランド州から今回の大会に参加した同氏や松縄さんの教え子のTom Foremanさん(クイーンズランド州チーム主将/写真上の中央右)とRodas Tenkirさん(写真上の中央左)。

 

大会前に松縄さんに今回の大会への意気込みを伺った。

松縄さん「この全豪空手道選手権大会は各州が毎年、持ち回りで開催します。去年は自分の地元クイーンズランド州で開催されましたが、2023年の今年はパースでの開催。明日からの大会が楽しみです。自分は審判員として参加しますが、クイーンズランド州のコーチでもあるので教え子たちが活躍してくれることを祈っています。空手の習得は他者に敬意を払い、礼儀も身に付けられ、努力を惜しまないことも学べます。精神力を養うことができるスポーツとして、まだまだこれからオーストラリアで浸透し、競技人口も増えていくことを願います。」

松縄 修一(まつなわ しゅういち)

 
オーストラリア在住。クイーンズランド州代表チームのアシスタントコーチを務め、ブリスベンの「The Australian Academy of Martial Arts Karate-Do Club Inc (AAMA)」では後進の育成を行う。また、渡豪前は東京品川の空手道場「空手道尚武会」で空手の道を追求し、現在でも一時帰国の際は常任理事として門下生の指導に尽力する。世界空手連盟の下部組織であるオセアニア空手連盟やオーストラリア空手連盟、そして品川区空手道連盟の公認審判員。在豪のオセアニア空手連盟公認審判員として唯一の日本人。

 
【情報元】
世界空手連盟(World Karate Federation)
オセアニア空手連盟(Oceania Karate Federation)
オーストラリア空手連盟(Australian Karate Federation)
西オーストラリア空手連盟(West Australian Karate Federation)
The Australian Academy of Martial Arts Karate-Do Club Inc (AAMA)
尚武館 Shobukan Martial Arts
空手道 尚武会

 
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