パイの起源はあいまいで、世界中のあちこちで「我が国こそがパイの起源なり!」と主張されている。ビーフパイに関しては古代ギリシャで初めて作られた、という説が有力。そのパイは至ってシンプルで、パイ生地の上に調理された肉がスプーンひとさじ分のせられただけのもの。これを古代ローマではパイ生地でフタをし、肉を包むようになった。
フランスではパイは貴族階級しか口にできない高級品だったとか。また、14世紀にフランス人シェフのGuillaume Tirelという人物が出した本には、うなぎパイに関するレシピが載っていた。
イギリスの食卓でミートパイが登場したのは中世の時代。"coffers"と呼ばれるペーストリー型を使って作られた。また、宗教改革運動が激しくなった頃、世俗的な欲望を取り払おうとフィッシュパイが考案されたこともある。
初期のパイ生地は、小麦粉と水のみで作られていて、容器目的で使われたり、パイ生地から染み出すスープによって具の味を高めたりと、食用目的以外で使用されたこともしばしばあった。その後、生地を柔らかく扱いやすくするため油脂が加えられ、それと同時に味もグレードアップ。現在のパイの基本形が出来上がった。
|