パイの語源
パイの語源には色々な推測が飛び交っているが、中でも有力なのは、“カササギ”説。カササギは英語でPieと言い、何でも集めてくる習性を持っている。これが、色んな材料を詰めて作られる“パイ”と似ていることから、同じ名前が名付けられたと言われている。
 

パイに関するあんなことこんなことの
トリビアコーナー。
 
パイの起源  〜世界編〜

 パイの起源はあいまいで、世界中のあちこちで「我が国こそがパイの起源なり!」と主張されている。ビーフパイに関しては古代ギリシャで初めて作られた、という説が有力。そのパイは至ってシンプルで、パイ生地の上に調理された肉がスプーンひとさじ分のせられただけのもの。これを古代ローマではパイ生地でフタをし、肉を包むようになった。
 フランスではパイは貴族階級しか口にできない高級品だったとか。また、14世紀にフランス人シェフのGuillaume Tirelという人物が出した本には、うなぎパイに関するレシピが載っていた。
 イギリスの食卓でミートパイが登場したのは中世の時代。"coffers"と呼ばれるペーストリー型を使って作られた。また、宗教改革運動が激しくなった頃、世俗的な欲望を取り払おうとフィッシュパイが考案されたこともある。
 初期のパイ生地は、小麦粉と水のみで作られていて、容器目的で使われたり、パイ生地から染み出すスープによって具の味を高めたりと、食用目的以外で使用されたこともしばしばあった。その後、生地を柔らかく扱いやすくするため油脂が加えられ、それと同時に味もグレードアップ。現在のパイの基本形が出来上がった。

パイの起源  〜オーストラリア編〜

 イギリスからの開拓移民によってパイはオーストラリアに伝えられ、原材料が容易に手に入ることから、パイは瞬く間に大衆の間に浸透。当時のパイは、マトンの肉が使われていたそう。
 1800年代半ばには、シドニーのホテルでミートパイが軽食メニューとして売られるようになり、後にメルボルンやシドニーの街角でパイの露店が登場する。この頃になると、パイ売りが、炭のストーブで温められたパイを道行く人に売る姿は日常の風景となったようだ。やがて、パイを馬に引かせて台車で街に運んでいたやり方から、シボレー・ユートの荷台に乗せて観光地やスポーツイベント開催地にも現れるようになる。そして、1960年頃には色んな種類のパイが売り出されるようになった。
 今では、オーストラリア人は年に約5億個ものパイを食べていて、ビーフパイはスポーツ観戦でのスナック人気No.1。AFLのグランドファイナルでは毎年1日で9万個のパイが売り上げられている。
(Mrs Mac's Pty Ltdのウェブサイトwww.mrsmacs.com.auより)

クリスマスにはミンスパイ

 ミンスパイはイギリスで16世紀頃からクリスマスに食べられているお菓子。クリスマスから十二夜までの期間にミンスパイを12個食べると、次の年が幸運に恵まれるという言い伝えがある。丸く小さな可愛らしい形は、イエス・キリストのゆりかごを模したものだとか。
 かつては肉がメインで、ドライフルーツやスパイスは肉を長持ちさせるために入れられたもの。しかし徐々にメインの肉がパイの中に入れられることは少なくなり、今ではほとんどがドライフルーツのみで作られており、名前だけがそのまま使われている。

感謝祭にはカボチャパイ

 アメリカ大陸に移り住んできたたくさんのイギリス人。しかし、慣れない土地で作物を育て苦難が続き、彼らの多くは飢えや伝染病などで死んでしまった。始めは、自分達の土地に踏み込んできたことに腹を立てていたネイティブアメリカン達だったが、惨状を気の毒に思い、カボチャなど作物の育て方を教えるようになった。それに従い、徐々に自分達の生計を立てることが出来るようになったイギリス人達は、感謝の気持ちを込めてネイティブアメリカンを家に招き、食事を振る舞った。その時の食事が今も伝えられ、感謝祭ではカボチャを使ったカボチャパイが食べられるようになったそう。

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