今矢:2003年に移籍したスイスのチームでは、サッカーがあまり楽しめなかった。勝ち負けに凄くシリアスだったし、練習のミニゲームだろうが、紅白戦だろうが、負けることは絶対に許されなかった。
石田:オーストラリアでは、練習中の勝ち負けといったシビアな感覚はあまりない。でも、自分の知っているブラジルでは凄かった。負けると喧嘩になるほどでした。
今矢:言葉が違うと、チームメイトとのコミュニケーションがゼロになってしまう。スイスでプレーしていた時、最初の6ヶ月間は言葉が分からなくて牢獄にいるようでした。一言もしゃべっていないチームメイトもいた。
石田:でも比較的スポーツの中でも、サッカーはまだ言葉ができなくてもやっていけるスポーツだとは思う。他のスポーツに比べて、自分で打開できると思う。
今矢:確かに。でもコミュニケーションを取らないと、プレーに影響してしまう。
石田:シンガポールからシドニーに行った時、英語は全く話せなかった。当時の監督とはポルトガル語で話をしていました。チームメイトとは、「Go、Dinner、Together」といった感じで会話をしていた。ベルギーに行った時は、チームメイト同志でのポジション争いから、相手を蹴落とすようなことがあることを肌で感じた。でも、ポルトガルではそんな事はなかった。もちろん、自分がポルトガル語を話せたからかもしれないけど、ロッカールームに入った瞬間から、雰囲気が違うのを感じました。
今矢:オーストラリアのチームでは、あまりチームメイトをおとしめるようなことはないですね。。
石田:日本ではチームによって、そのようなことはあるかもしれない。オーストラリアと比べると、日本の方が競争意識は強いから。
今矢:スイスは、とにかくサッカー、サッカー、サッカーだった。戦争に行く兵隊のようだった。試合の48時間前は、軟禁状態。最初の6ヶ月間は、オーストラリアに帰りたかった。でも、昼間の練習が始まれば、そんな事は言っていられない。今となっては、良い経験をしたと思います。
石田:自分の場合、ブラジルに行って3ヶ月目に試合で活躍して、レンタルで他のチームに移った。あの時の孤独感は、本当に辛かった。本当に日本に帰りたいと思った。でも、あれを経験したら、もうどこに行っても大丈夫です。
今矢:今回のAリーグでは、当初2チームから入団の誘いがありました。完璧なオファーは、ニュージーランドの方が先だったので、とにかくAリーグでプレーがしたかったからサインをしました。でも、今のチームは、選手個人個人のレベルはそんなに低くはないのに、試合に勝てない。オーストラリアとニュージーランドの力の差では、もちろんオーストラリアの方が上なんだけど(ニュージーランド・ナイツFC、第15ラウンド終了時点での成績は1勝13敗1引き分け。8チーム中最下位)
石田:日本とオーストラリアだったら、日本の方が技術は上だと思う。オーストラリアには、身体的な強さがあるけど。
今矢:オーストラリア人は、人にもよるけど日本人ほどテクニックはない。日本人の足元は、確かに凄い。しかし、オーストラリアにもいい選手はいる。残念ながら、上を目指す道がなかったから育たなかったけど、今年からAリーグというものができたから、また何か変わるかもしれない。自分と一緒にやっていた頃の16〜18歳位の選手で、当時いい選手はたくさんいましたよ。
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