「性感染症(STD=Sexually Transmitted Diseases)」とは、性行為によって感染する病気のことです。STDの患者数は増加傾向にあり、特にここパースでも高い感染率が報告され、注意が呼びかけられています。STDは、性的接触によって、誰もが感染する可能性があるにも関わらず、感染していても無症状や軽い症状であるため、気づかずに感染源を広めてしまったり、進行して手遅れになってしまうなど、深刻な状況を引き起こしてしまう恐れがあります。節度ある行動と正しい予防法を理解し、早めの受診・治療を行うことが大切です。

知らずに放っておくと…
  自覚症状がないために、知らない間に体の中で病気は進行し、男女ともに不妊症の原因やガンの一因となる恐れがあります。また、性感染症にかかっていると、母子感染によって赤ちゃんに障害をもたらす可能性もあります。
   
  「もしかしたら…」と思ったら
  早期発見・早期治療が大切です。簡単に検査を受けることができ、患者のプライバシーは厳守してくれるので、早期に最寄りの病院・クリニックでドクターに診察してもらいましょう。パートナーと一緒に治療を行うことが重要で、自覚症状がなくても治療を中断せず、きちんと治療を続けることが大事です。治療中の性交渉は控えるか、必ずコンドームを正しく使って行ないましょう。
   
  性感染症の予防
 

①コンドームを正しく使うこと。最初から最後まで装着しておくこと。
②セックスパートナーは、特定の人に。
③性感染症の正しい知識を持つこと。オーラルセックスでも感染の危険性があること、誰でも感染する可能性があることを認識。
④少しでも気になることがあれば、すぐ受診すること。オーストラリアでは、婦人科、泌尿器科などの専門医に行く前に、必ずGPで診察を受ける。

<コンド−ムの正しい使い方>
①保存方法、携帯方法に注意。
②使用期限を守る。
③コンドームを傷つけないように袋から取り出す。
④先端を軽くつまみ、爪を立てずに空気を出す。
⑤ペニスに密着するようにして被せる。
⑥爪で傷つけないように注意して根元まで被せる。
⑦射精後、ペニスが小さくなる前に速やかに抜く。


   STDの主な病気
 
ウレアプラズマ
Ureaplasma
潜伏期間:数年
症状:無症状。尿の濁り、排尿痛。
ウレアプラズマ菌による感染。パースではこのウレアプラズマにかかる患者数が1番多い。主に男性が多く感染する。女性の場合、子宮頸管炎や早産・流産の原因となる。抗生物質の投与で治療可能。
クラミジア感染症
Chlamydial Infection
潜伏期間:1〜3週間
症状:
(男)無症状。排尿痛、尿道の不快感、かゆみ、膿み。精巣上体炎や不妊症の原因に。
(女)無症状。おりもの、下腹部痛、不正出血。子宮頚管炎や不妊症の原因に。
クラミジア・トラコマチスによる感染。自覚症状がほとんどないので、気がつかないまま感染を拡げ進行してしまう。感染初期であれば、適切な抗生物質や抗菌剤で治療可能。
淋菌感染症
Gonorrhoea
潜伏期間:2〜10日
症状:
(男)尿道のかゆみ、排尿痛、熱っぽさ、膿み、腫れ。尿道狭窄、不妊症の原因に。
(女)男性より症状が軽い。おりものの増加、尿道から膿。子宮内膜炎、不妊症の原因に。
淋菌による感染で、1回のセックスでうつる確率は50%とも言われ、強い感染力を持つ。炎症が進むと不妊の原因となる。適切な抗生物質や抗菌剤の投薬が必要。
梅毒
Syphilis
潜伏期間:3週間程度
症状:無症状で経過することもある。進行すると、しこり、潰瘍、リンパ腺の腫れ、発熱、倦怠感、発疹。さらに進行すると心臓・血管・脳などの障害を起こしていく。
梅毒トレポネーマによる慢性の感染症で、何年もかかって進行していく。早期に発見し、医師の指示に従って治療することが大切。主に抗生物質の投与で治療が可能。
性器ヘルペス
Genital Herpes
潜伏期間:2〜12日
症状
(男)外陰部の不快感、かゆみ、発熱、倦怠感、強い痛みを伴った水疱や潰瘍。
(女)外陰部の不快感。強い痛みのため歩行や排尿が困難になることがある。
ヘルペスウイルスによる感染で、性器に腫瘍ができ、一度感染すると再発を繰り返す。抗ウイルス剤の内服薬や注射、軟膏が処方されるが、完治は難しい。
尖形コンジローム
Genital Warts
潜伏期間:数週間〜数年
症状:性器・肛門周囲にカリフラワー状のイボ、おりものの増加、かゆみ、痛み。
ヒト乳頭腫ウイルスによる感染で、悪性型のウイルスによっては子宮頸がんや陰茎がんの原因になる危険が高い。イボがなくなっても、ウイルスが皮膚内にいれば、他の人に感染する危険がある。治療は軟膏の塗布、液体窒素、レーザーや電気メスなどの外科的治療を行う。
エイズ
Acquired Immune Deficiency Syndrome
潜伏期間:10数年
症状:発病するまで自覚症状なし HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染。体の抵抗力を低下させ、カリニ肺炎などの重症感染症、カポジ肉腫などの悪性腫瘍、エイズ脳症などの神経障害等になり全身が衰弱していく。
主に性交渉、母子感染、注射器の回し打ちなど血液を介しての感染。治療によって、発病を遅らせたり症状を軽くすることができる。

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