オーストラリアの医療について、
日本語医療センターの鈴木衣子さんにお話を伺いました。
   
 通訳のお仕事とは?
 
私は元々看護師ですが、今は通訳として働いているので、患者様と先生の橋渡しをするのが仕事です。通訳の仕事としては、患者様にアドバイスをすることはできません。それは、先生のお仕事なんですね。例えば「頭が痛いので頭痛薬飲んでもいいですか?」って聞かれても、私達の意見は言えないのです。患者様の中にはそれがもどかしい感じがする方もいらっしゃるとは思うんですが、そこはご理解頂ければと思います。
   
 
 オーストラリアの看護師のお仕事は?
 
日本語医療センターには、現在2人の看護師がいまして、傷の消毒、血圧測定、心電図、骨折時の三角巾の固定、吸入器の指導、患者さんの看護計画に基づいたケア等をしています。看護師付きで処置する場合は、医師、看護師、患者様、そして通訳が入って治療を行っていくことになります。これはあくまでも私個人の意見になりますけれども、日本の正看護師(Registered Nurse)の社会的立場に比べてこちらはきちんと確立し、できる仕事の範囲も違います。日本でいう“3K”なんてないですね。オーストラリアは、基本的には完全機能別看護を取り入れています。主な仕事は、薬の投与、看護計画を立て、治癒に導くということに重きが置かれているため、シャワー介助や清拭(体を拭く)ということは、基本的に准看護師(Enrolled Nurse)の協力を得ながら看護助手(Nursing Assistant−資格を持っている)によって行なわれます。
   
 
 看護師の制服、派遣看護師って?
 
日本では白のイメージですが、白衣がなくなり、ブラウスとキュロットパンツというのが一般的で、各病院毎に規則があります。院内感染防止のために長袖は着ませんね。こちらは派遣会社から来ている看護師も多いので、その派遣会社によって制服があります。派遣の看護師は、合理的で好きな時に働けるということで、オーストラリアらしいと思いますね。仕事として割り切ってやっている。働いている病院(施設)にもよりますが、残業とかもほとんどないように工夫されています。
   
 
 受診する上でのアドバイス
 
日本の人は長期に渡って同じ薬を服用しているケースが多々ありますが、薬品名が分からないという方がすごく多いんですね。日本から持病の薬、例えば高血圧での薬などを持ってきているのでしたら、何を何mg、1日何回飲んでいるのかを調べてきて頂ければ、次回の処方もスムーズに進むと思われます。同じ物があるか、なければ代替品としてどういうものがあるかというのを調べることができますので。また、海外旅行保険を持っている方は、カバー内容の確認が大切です。提携している病院じゃなければ駄目というところもありますし、その場で料金を支払わずに診察してもらえる場合もあります。薬代は、後で保険会社に請求します。そして、英語での医療用語に不安のある方は、通訳を手配した方がいいと思います。ご自身の言っていること、症状や痛みの種類によって診断名が変わってきて、手配する検査も変わることもありますので。
   
 
 納得のいくまで
 
先生の診察に納得しかねる場合、オーストラリアでは第三者の意見を聞くのは当たり前です。診察後に満足のいくような診察を受けるためにも、思ったより経過が良くない、長期化している等々があれば、主治医との話し合いの場が設けられたり、または他の先生に聞くということが可能です。納得いかないことがあれば、納得いくまでとことん話し合うことができるのが、オーストラリアの医療チームだと思いますので、先生もまったく気にしていません。
   
 
 英語に不安のある場合は?
 
特に患者さんが通訳を希望している場合や英語がまったくできない場合は、先生達も困るので、通訳の必要性を感じてくれる場合も多く、特別救急車を呼ぶという場合でなければ、直接日本語医療センターに電話して頂ければと思います。緊急病院に運ばれてしまった後だと、最初からいなかったから通訳必要ないじゃないかと言われることが多いんです。また、入った後では、支払い手続き、保険の手続きを私達が代わりにすることもできなくなってしまいます。特に海外旅行の保険を持っていらっしゃる方に関しては、保険の契約書を提示さえして頂ければ、支払いの手続きは全て私共で行います。保険をお持ちでない患者様でも、夜間の通訳の手配が可能です。費用については、その時の状況にもよりますので、その都度ご確認頂ければと思います。
   
  慣れない土地で病気になるのはとても不安なことです。言葉の心配は、私達がお手伝いしますので、おやっと思ったら、お気軽に日本語医療センターへいらっしゃって下さい。
   

This site is developed and maintained by The Perth Express. A.B.N. 31 058 608 281
Copyright (c) The Perth Express. All Reserved