中米・グアテマラの首都グアテマラシティーの町はずれ。多くの路上生活者の子どもたちを見た。昼間からビールやウイスキーを手にする10歳前後の子ども。シンナーを片時も手から話すこともできない。彼らの、とろんとした目を直視するのには勇気がいる。そこでの光景は思い出すことさえ、苦しい。しかし、そんな彼らにも、もちろん好奇心がある。学びたい、未知のものを吸収したいという思いはあった。
 どこで彼らの歯車が狂ったんだろう。生まれた地域、時代が悪いのか。そう考えると全ての光景に免罪符を与えるようだ。私には、シャッターを切って、そんな現実を捉えることしかできない。

 貧困にあえぐ第三世界のスラムや戦闘の続く紛争地を回っていると絶望感に打ちのめされることがある。目の前には、何年経っても、変わらない現実が展開するからだ。苛立ちよりも諦めの気持ちが先に立ってくる。しかし、外からの訪問者の私と違い、現地の人は希望を胸にたくましく生きている。
 無邪気に遊ぶ子どもたちの姿を見て、単純に元気づけられるときがある。しかしそれ以上に、内戦や貧困のもと、ペンや鉛筆を握る人、文字を覚えようとする人の姿をファインダー内に捉えた時、私は彼らの中に「明日への希望」を感じとることができる。  


 

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