「写真展にて」

 私のスライドショーに参加していた人は、話し手である私自身を含めて、いつの日か訪れるであろう民主国家ビルマを想像していた(にちがいない)。
 今はこんな社会体制だが、変えようという意志があれば、よりよい社会に変えることができるだろう、と。だから私たちは頑張っているのだろう、と。
  それは幻想かもしれない。でも、人は幻想にしか生きられない。そこは想像の世界であるかもしれない。現実からかけ離れているかもしれない。だが、それは人が生きる上では必要なことでもある。 
  人は、現実の厳しさを目の前にすると、自分の都合のいい現実しか見えなくなってくる。それは経験上、簡単に推論されること。

絶望を希望に変えるには、現実の枠を超えた自由な発想と夢を絶えず生み出す装置が必要であろう。それが、私の話す情報が「物語」として生成され、写真展に集まった人々の共同の幻想によって育まれていったのではないだろうか(と、勝手にいいように考えてしまった)。
 私自身、自らの撮った写真を提供し、情報からほぐした言葉を紡ぐことで生まれ育って得る感覚で、さらに目の前の人と反応しあうことによって生み出される想像上の「物語」や幻想の存在を感じ、一人納得していた。
  写真展を開く、スライドショーや講演会を催す、というのはそういうことかも知れない。

 


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