私は、現地での経験を具体的に事実として話しながら、実のところ、自分の経験を「物語」として伝えているのではないかということに気づき始めた。 日本の人はもちろんのこと、日本に逃げてきたビルマの人は、現在のビルマの状況を知る立場にない。私の目の前にいる日本の人やビルマの人は、私の話を想像で聞くしかない。或いは、たとえ、つい最近日本に逃げてきたビルマ人であったとしても、現地で移動の自由がない彼らは、基本的にビルマに関しては、自分の生活範囲を超える社会の状況を知ることはできない。