米国は、厳しい経済制裁を課した。ビルマもそのメンバーであり、国家間の内政不干渉を唱える東南アジア諸国連合(アセアン=ASEAN)でさえ、今回のビルマ軍政府の行動を諫める公式声明を出した。
そのスーチー氏の所在が9月17日、突然明らかにされた。手術のためラングーン市内に緊急入院したからだ。これは軍政にとって幸運だった。まさに、10月のアセアン首脳会議を前にして、スーチー氏の解放問題が取り上げられるはずであったからである。軍政権にとって、健康問題を理由に、スーチー氏の解放を解き、自宅軟禁状態へと移すことができたのだ。理由のないままスーチー氏の拘束を解くことになれば、軍としての面目がつぶれるからである。
新しい首相として外交デビューしたキンニュン氏(軍のナンバー3)は、インドネシアでのアセアン首脳会議を無事乗り切った。10月7日に終了した会議の議長声明では、さすがにビルマの国名が明記された。
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しかし、そこには「ミャンマー軍政」のいう民主化への取り組み計画を評価する記述だけで、アウンサンスーチー氏の解放の件は全く触れられていなかった。あくまでも権力にしがみつこうとするビルマの軍政府。その計画する民主化試案では、ビルマの人々の自由と経済的な発展の可能性はまず望めないであろう。
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