「スーチー…(後編)」

 観光を目玉にして外貨稼ぎをねらう軍政。しかし、ビルマの「お金」にはからくりがあるのだ。公定レートと実質レートの差である。US$1=約6.6Kが公定レート。外国から投資や援助が入る場合にはこの公定レートが適用されるはず。だが、現地での実勢レートは1米ドル1000Kである。それ故、実際に現地で経済活動をする場合、99%近い金額は、この2重為替状態のためにどこかへ消えてしまうことになる。

民間企業は、経済活動に問題があるのなら、経済投資をやめればいい。問題は、国連や大使館などの公的機関とNGOによる、活動資金や援助金の実態である。海外から入る「一般の市民への援助のため」というお金は、この2重為替の理由で、援助金の大部分がどこかへ消えていくことになる。それは、現軍事政権を支える資金になるのか、あるいは私腹を肥やす誰かの懐へ入るのか。監査があっても、おそらくは書類上では、US$1=6.6チャットでつじつまが合うはず。援助する政府側も援助を受ける軍政側もこのからくりを公に認めるわけにはいかない。詳しく報告した資料は見あたらない。

     

外国企業やINGO(国際的な非政府組織)は実際のところ、US$1を450K換算で活動していると聞いた。
 首都ラングーンでは一見経済活動が活発で、軍政の政権運営の舵取りがうまくいっているように思える。しかし、それは首都だけで生活している人の感覚である。地方の外国人の訪れることのできない地域では、経済的に苦しい状況が続いているのだ。私が1年間ビルマに滞在して一番強く感じたのは、首都と地方の差が国外へ全く伝わっていないことである。

   


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