「どうやって生活しているのだろう。」 by 宇田有三 

 NGOはビルマ国内で、現地の人を雇用し、現地の資材を使って計画を実行しようとするのだから、もちろん実際の市中レートでの支出となる。 つまり、1万ドルの仕事のうち993万3000チャット(9933ドル)がどこかへ消えていくことになる。
  援助金のうち、99%が誰か別の者の懐に入ることになる。援助する側としても、さすがにこれだけのお金のごまかしをする訳にはいかない。国際機関やNGOは実際のところ、1(US)ドル=約450チャットで現地での活動を続けているそうだ。なぜ450チャットで援助なのかはわからないが、それでも半分以上のお金が消失しているのである。NGO自体がお金をごまかしているとは思えないから、引き受け手のビルマ側の内部で処理されているとしか考えようがない。それが軍事政権を支える資金となるのなら考えようである。
 しかしである。援助資金に問題があるからといって、NGOや国際機関が完全に現地から手を引いてしまえば、

 

本当に困っている人々がますます苦しくなるのは目に見えている。
 違法な政権下で援助活動をするにはある程度の妥協は仕方ないと思う。問題は、その妥協点をどこに見いだすのか。

 ビルマ軍政は、事実上1962年から続いている。軍政権がむちゃくちゃな「政策」をすれば、一般の市民はそれに対して生活の為の「対策」を持つようになってきた。その習慣は40年以上続いている。その生存のための方策は、一つの文化になったともいえる。基本的にビルマは飢えない国である。究極まで追いつめられなければ(食えなくならなければ)、ビルマの人は抵抗しないようである。
 
1年間のちょっとした滞在では、まだまだわからないだろう。人びとが、どうやって生活し続けているのか。頭をひねるばかりである。

   


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