そのことを考えるだけで少々怖くなる。直接顔を合わせて、話をして、信じてもらうしかなかった。その人物との話を終えて一人になると、さすがにぐったりと疲れ、気が抜けてしまい、喫茶店に座ってぼんやりする。目の前の道路を黒いガスを吐きながら、日本製の中古バスが走り抜ける。夕方の5時を回ったばかり。勤めを終えた人々が帰る頃だというのに、バス停にはたかだか30人を越える人影しか見えない。もう帰宅ラッシュの時間は過ぎたのだろうか、それともこれからもっとたくさんの人が出てくるのだろうか。
 また1台、オンボロバスが通った。排ガスをイヤというほど浴びる。風邪をこじらせて喉を痛めている我が身には、この喫茶店はつらい場所だ。しかし、椅子から立ち上がって場所を変えるほどの元気も残っていない。目の前の人々の動きを、ピックアップトラックを改造したバスの後部に乗り込む人達を、ぼんやりと眺める。

 注文した炭酸ジュースは、やはり、というか、ぬるい。冷えていなければ、ただの甘ったるい砂糖水だ。どのくらいの間放っておかれたのだろうか、炭酸の勢いも弱々しい。のどの奥にジワリとした気体が、かすかにはじけるだけ。

The young street venders in the vicinity of Thamanya Monastery, selling the vegetables. (Paan, Burma)
   


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