ここで、こんな生活を続けなければならないんだ。俺もなあ、1000ペソあれば、ここで免許証を手に入れて、こんな生活ともおさらばできるんだけどなあ。今は、お金もたまらないよ・・・。」
  「ごみ捨て場で働くスカベンジャーはたくさん見てきたよ。カンボジア、ニカラグア、エルサルバドル、グアテマラ。まあ、タイは全くシステムが違って、スカベンジャーはほとんどいないけどね。」
  「1000ペソ(約2600円)あれば・・・。」
  その言葉は、私の脳裏にずっと残った。私の一日の生活費があれば、彼はこの生活から抜け出ることができる。なんか居心地が悪かった。ジュンさんは続けた。
 「あ〜あ、日本に行って働きたいよ。誰か知り合いいないかい?」。

   私はその言葉を聞き流すようにごみ捨て場で働く人の写真撮影に取りかかった。
  どうしてフィリピンの貧困はなくならないのか。ごみ捨て場を統括する責任者の一人に話を聞いてみた。
  「そりゃ、仕事がないからだよ」。
  ごみ捨て場で働く女性のためのグループを運営しているノニータさん(63)からも全く同じことを聞いた。
  「私はもう年寄りだから、どうなってもいいんだけど、ここで働く子どもたちを見て下さい。学校にも行けず、毎日汗水流していますよ。親たちに仕事がないから、生活するために仕方ないんですよ。オルタナティブな仕事があればいいんだけどねぇ。子どもたちには将来があるのに・・・。」 (つづく)
   


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