しかしながら、自分自身は活字人間であると自覚している。頭で考えてから動く人間であると認識している。物心ついた頃から、文字ばかり読んでいた。中学生の頃、学校の図書館の壁一面の本棚、そこに並べられていた本のほとんどを読み切った。推理小説、文学、歴史、文字ならば手当たり次第に読んだ。詩も作った。中学2年生の時には、恋愛感情は全くなかったが、同級生の女の子に詩を作って贈った。その女の子を自分なりに解釈し、分解し、表現してみたのだ。お互い、別の好きな子の話をする間柄だったから、変な誤解を受けずにも済んだのも事実。

  本当におかしなことをしていたものだ。
 高校、大学、社会人を経ても、ついつい頭で考えてしまい、現実を見ずに、抽象的に考える方がかっこいい、そういう生活を知らず知らずのうちにしてきた。人間を、社会を一般化していく考えに染まっていった。
  しかし、写真は実際に生きている人間(被写体)を目の前にして、具体的に行動しなければならない。そこに自分の思考方法だけの世界に閉じこもっているわけにはいかない。写真を写すのに、自分の主義・主張だけを突っ張るわけにはいかないのだ。


   


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