ニュートンは木から林檎が落ちるのを見て万有引力の法則を「発見」した。そんな逸話がある。まあ、この話が本当か嘘か分からない。まあ、おそらくでっち上げだろう。ある時、(書名は忘れたが)一冊の本を読んでいて、この話に触れていた。
─ 「ではなぜ、ニュートンは林檎が木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見できたのだろうか」
最初、その質問の意図するところが分からなかった。しかし答えを見て、「あ、そうか」と納得した。
この質問の設定は、ニュートンでも、木でも、林檎でなくてもよかったのだ。要するに、ある現象を目の前にして、何かを考える人とそうでない人。想像力を働かせる人とそうでない人がいるのだと教えてくれたのだ。
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どのような視点に立って、どんな発想をするか。人の思考力・感性・感覚・視点とは、なんなのか、そのことについて考えるヒントを与えてくれた。
その答えはこうあった。
─ 「ニュートンは、月や星、太陽を見て、なぜ落ちてこないのだろう、って考えたからだ」
何かに追いつめられていたニュートンはこういう発想ができたのか。あるいは生活が豊かで時間的なゆとりがあったから、こういう感受性が養われたのか。詳しくは分からない。私たちは(私だけかも知れないが)、目の前に繰り返される現象を当然のように思っている。それを疑問に思う人と、思わない人。どうして彼は、そんな発想ができたのか。私たちはそのことを考えるべきなのだ。
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