しかしこの3月、京都に向かう列車の中で奇妙な違和感を感じた。ゴトン、ゴトンと線路のつなぎ目に沿って、規則的な電車の揺れは心地よい。そういう安堵感と同時に、気持ちは急いていた。現地での約束の時間にぎりぎりだからだ。あと5分早く自宅(神戸)を出ていたらこんなに焦らなくてもいいのに。そう思うと、いつも後悔する。
 これが例えばエルサルバドルやビルマの山の奥だと、こんな焦りはもちろん感じない。中米・エルサルバドルに足を運んだ99年春、隣国ホンジュラスと接するセンステペケ県の山奥に住む知人を訪れようとしていた。ところが、定期的に走っているはずの移動手段のバスがなかった。「今日はバスが予定通り動くかな?だめなら明日だ」。そこでは、いくら焦っても仕方がなかった。動きようがないからだ。気長に待つしかない。

 車で移動するとすぐに渋滞に巻き込まれていたタイ・バンコクが変わりつつある。RTSと呼ばれる最新式の高架鉄道が開通したのだ。その便利さに感動した。スムーズな場所への移動ができるようになった。これはやはり良いことなのだろう。
 地域が変われば生活状況や条件が変わるのは当たり前。いちいちそんな比較をするつもりはない。しかし、いわゆる「先進国」の一つである日本に戻って、奇妙な違和感を感じた。あれ、何か変だぞ、と。今回、電車に乗って、そのことを強く感じた。

   


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