幹線道路には、真新しい自家用車やマイクロバスが目立っていた。12年間続いた内戦を思い起こさせるオンボロバスはあまり見あたらない。停戦から7年もたっているから当然かも知れない。
勤勉な国民性から「中米の日本」と呼ばれるエルサルバドル。首都サンサルバドルの下町地域では時々、新しい車に交じって、今にも壊れそうな乗り合いバスが現役として走っている。そんなバスの真っ黒な排ガスを体中に浴びながら私は、メルカード・セントラル(中央市場)の洋服屋を目指して歩く速度を上げた。4月のエルサルバドルは乾季の真っ盛り、気温は軽く35度
を超えている。
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カメラバッグを持って少し歩くだけで体中から汗がどっと出てくる。歩道から道路にはみ出した屋台や、路上にたむろする物売りの人々で、なかなか前に進むことができない。腐った野菜・肉・果物が入り交じってすえた臭いが、あたり一面に漂う。
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