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[第14節] 電撃移籍

翌日の16日、大木氏より正式に移籍の話が持ち込まれた。しかし条件は、移籍金が発生しないこと。しかし、石田はパース・グローリー所属の選手で、契約期間中の移籍は移籍金が発生する。つまり、移籍先のヴァンフォーレ甲府が移籍元のパース・グローリーに違約金を払わなければならない。もし支払うことができないのならば、この移籍は成立しない。石田の代理人がパース・グローリー、つまりオーストラリア・サッカー協会に掛け合った。

 当然、石田にとってのJリーグは、Aリーグよりもレベルアップになる。Jリーグで結果を残せば、日本代表も視野に入ってくる。望むところだった。そして、代理人とオーストラリア・サッカー協会との交渉の末、『フリー・トランスファー(移籍金不要)』を勝ち取ったのである。

 石田は17日の深夜、マレーシアに戻った。翌日の18日に本人から電話を受ける。受話器の向こうから張りのある、落ち着いた声で「移籍が決まりそうです」と。