僕は考えたあげくに、夜明けから街の人たちが活動を始める午前7時前までの間に表に出て、縫い目の作業を続ける以外ないと決心しました。その晩は、夜9時過ぎに布団に入り、翌朝、4時過ぎに目が覚めると、急いで支度をして出かけました。
久しぶりに表に出て吸う夜明けの空気は、澄んだ中に街路樹の香りが混じって心地良く、まるで自分を開放してくれるようなすがすがしさが、胸の奥深くに広がりました。
僕は、なるべく人目につかない場所を選んで、“仕事”に取り掛かりました。
|
|
4時45分くらいから始めて、2時間ほどで今日の作業を切り上げました。わずか2時間ではありましたが、“縫い”終わった後に、また何かとても満たされた気持ちになれて、本当にうれしかったです。
僕はそのまま、バチェラーには戻らずに郊外に行く電車に乗りました。帰る日がだいたいみえてきてから、そういえばこの街のことをあまり知らない自分に気づき、どこでもいいから郊外へ向かう電車に乗って、残り少ない日々を日帰りの小旅行に当ててみようと思ったのです。
|