こんなことで自慢はしたくないのですが、僕は泳げて兄貴は泳げませんでした。でも、そんなこと言いたかったんじゃないんです。なんか、自分の生活とか考えてみると、兄貴のそれと比べてみて、すごくつまらなく映ってしまうんです。たばこや酒をやらないからって、別に僕の人生が光ってくるというわけでもないんです。
「それで、MORIO、やっぱり親父さんのところで働くのかい?」
「発電所の図書館のこと? 僕、掃除好きだからやってみようと思うんだ。」
「好きなことをやるのって、大切なことだよ。オレなんか、自慢じゃないけど、好きなことしかしないもんだから。
|
|
へへっ、こんなになっちゃってるんだけどな。」
「僕も、好きなことやって行けば、兄貴みたいになれるってこと?」
「オレみたいになんかなる必要無いよ。MORIOはオレには無いいいところをいっぱい持ってるんだから。要は、自分でしたいことを見つけたら、それに向かってまっすぐ進んでみるといいってことなんじゃないかな。シンプルにそういう“生きざま”を繰り返して行けば、おのずと自分が見えてくるんじゃないかな。」
「それじゃあ、好きなことだけ繰り返していればいいっていうの?」
「オレは、そう思ってるよ。」
|