第8話 「ジャンキー」

 こういう気持ちを片思いというのでしょうか。僕はあの日以来、抜け殻のようになってしまいました。どうしても仕事に行くことができずに、一日中海岸を歩きまわったりしました。スタジオ69へは、あれから何度も連絡してみました。そしていつも決まって、今彼女は忙しいと断られました。本当は会いに行きたかったのですが、あのような場所で会うことだけは、もう決してしたくありませんでした。僕は1週間休んだ後に、こうしていてもラチがあかないと思い、キャシーズに顔を出しました。みんな、心配してくれていたのがわかりました。
 「まだ、MORIOには早かったのよ」と、みんなの顔にそう書いてありました。

  オーナーに呼ばれて、スタジオ69の調書を取られました。オーナーの隣のスーツを着た“感じの悪い女性”が、一番触れられたくない細かい事を何度も念を押して聞いてきました。

 

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