土地のくじ引きには遅れたが、馬のくじ引きには間に合った。これもまた興奮する出来事で、珍しさ半分皆どの馬が自分に当たるか期待と不安が入り交じっていた。それぞれの馬に番号がふられ、その番号札が帽子の中に入れられた。開拓者の名札も別の帽子に入れられ、両方の帽子から札が引かれて馬の所有者が決定された。父は平凡なクライズデールを引き当て、ボビーという名をつけて家族全員で大歓迎した。数ヶ月間、ボビーはよく働いてくれたが、腫瘍ができ殺さなければならなかった。次のクライズデールにはジャックと名をつけた。後に私たちが集団開拓地を去らねばならなくなったとき、働き者で従順なこの馬の次の所有者がいい人であるよう皆が祈った。
今でこそ開拓者たちは素晴らしい馬の飼い主であったと誇れるが、当初はどう考えてもよく馬を扱えたとは言えなかった。
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彼らは、乗り方も手なずけかたも知らなかった。ある日、父が初心者の友人の乗馬を手伝ったときはまるでチャーリーチャップリンの映画を見ているようであった。背の低いその友人はあぶみに足が届かず、父は手を差し出しそれを踏み台にして鞍に乗せようとした。だが、父の持ち上げる力が強すぎたためか、鞍にまたがるどころか反対側に落ちてしまったのだ。幸いに怪我もなく大笑いで済んだが。
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