ここでは、まず水が問題だった。貯水池も井戸もなく、ドライバーが教えてくれた小川にも水が流れている様子はなかった。けれど、この水問題も隣の娘さんが水源地を教えてくれたことで解決した。ブッシュの生き物たちと共有の水溜まりは、泉からちょろちょろ流れる水溜りだった。水の在処がわかると母は、即席の食事を用意した。そして第1日目を終えた。子供たちはすぐに眠りについたが、両親はその日の苦い経験から強まっていく疑惑や不安を振り払おうとしていた。
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物言わぬ木々だけが、その夜両親が流した涙を吸い込んで生長したことを知っている。両親に限らず、西オーストラリアの南西部の片隅で同じようなドラマが繰り返されていた。
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