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【パースエクスプレス・マガジン】「パース-成田」直行便就航記念 パースエクスプレス独占インタビュー 西豪州首相 マーク・マガウワン

 西豪州首相のマーク・マガウワン氏は、本誌インタビュー(2017年11月)で「2019年には直行便を就航させたい」といった希望を述べていたが、現実となった。その就航までの経緯と9月1日以降の西豪州政府としての立場などを今回も独占インタビューにてお届けする。

取材協力・情報提供:西豪州内閣総理府首相室
インタビュー:2019年2月8日
 
 
>【英語版のインタビュー見る】『Special Interview with the Premier Mark McGowan regarding Direct “Perth – Tokyo” Flights』
 

▼パース-成田直行便の航空券の金額やフライトスケジュールを読む

 

▼「パース-成田」直行便就航が決定するまでの流れを読む

 
▼2017年11月29日に直行便について語っていた西豪州首相のマーク・マガウワン氏のインタビュー記事も合わせて読む

 

―初めに「パース―成田」直行便就航、おめでとうございます。素晴らしいニュースであると共に、州首相や就航に携わった関係者の方々の尽力にパースの皆さんは感謝していると思います。
 
さて、前回インタビューさせて頂いた2017年11月の時点では、“2018年では実現されないかもしれないが、2019年には実現させたい”とおしゃっていました。その当時、ご自身では直行便復活についてどのくらいの自信をお持ちでしたか?また、あのインタビュー後、ご自身や関係者の方々は引き続きどのようなことをされ、実現にこぎつけたのでしょうか?

 
「私たちは、政権与党になった2年前からこの直行便についてはずっと取り組んできました。ご存知かと思いますが、遡ること2011年に当時運航していた直行便は休止され、日本人観光客も劇的に減少しました。しかも、その運行していた便は毎日ではなく、週に3便だけでした。そこで、Paul Papalia西豪州観光大臣と私は日本を訪れて、この課題に取り組み、大臣はとても効果的的に動かれ、航空会社とも協力的に話を進めました。直行便運航の可能性が高かった全日本空輸株式会社、カンタス航空、日本航空株式会社の3社の航空会社に働きかけてきましたが、中でも興味を抱かれた全日本空輸株式会社と大臣は、更に興味をもって頂けるように効果的に協議し、また観光局も共同でマーケティングやイベント、プロモーションの機会を作り出していきました。私たちは、何か大きなことが起きていくことを確信していましたし、とても期待していました。全日本空輸株式会社が直行便就航の意向を確定させたのは、確か昨年のクリスマスの頃だったと思います」
 
 

―今年の9月1日以降、就航される直行便を利用して、どのようなことを期待し、具体的にはどのような計画をお持ちかお聞かせ下さい。
 
「日本から来る人だけではなく、近年多くのオーストラリア人が休暇で日本に行っていますが、当地から日本へ行く人も含めた日本と西豪州の相互においての観光業拡大を期待しています。また、私たちは大規模な貿易関係を有し、それにより日本から西豪州へビジネスで来られる多くの人達の往来も存在しています。実際、2週間前(2019年1月下旬)に私が日本に滞在した時、各種多くの企業の方たちにお会いしましたが、彼らは毎週のようにパースへ人を送っているとおっしゃっていました。そのうちの何社かは、毎日だともおっしゃっていました。既にそのようにパースに来ているといった方ちが存在する中で、観光業にとっても好機になると思っています。現在、毎年3万人から4万人の日本人観光客が西豪州に訪れていますが、是非ともこの直行便で更に観光客増加につながることを望みます。私たちは、今後も引き続き日本と西豪州の双方から、全日本空輸株式会社や直行便に関係する日本当局と、この直行便をプロモートしていきます」
 
 

―2018年12月30日に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効されました。報道によると2019年1月に日本での牛肉の輸入が去年12月に比べ、1ヶ月間で60%もアップしたようです。日本政府によると、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、メキシコが主な取引国です。このTPPと直行便を関連させ、政府として何かお考えでしょうか?
 
「私にとって、この直行便の大部分は観光客のためのものだと思っており、日本から西豪州にやってくるより多くの観光客に当地で体験できることを提供し、そして提供できることは貨物輸送の機会に劣らないものだと思っています。どんな伊勢海老や高品質のお肉、生鮮品でも貨物輸送の機会はあります。私たちは全日本空輸株式会社と、この当地でできる体験を確実に得られるように働きかけ、そして私にとって最も重要なことですが、この直行便をプロモートし、長い間運航し続けるようにしたいと思っています。十分な集客がないという理由で運航をストップさせたくはありません。私が日本へ行った時、全日本空輸株式会社の↗取締役会長や代表取締役社長とお会いし、当地でのマーケティングにおける好機について話し合い、そのチャンスに興味を示されていました。そしてご覧の通り、昨日(2月7日)にその直行便航空券が販売し始め、刺激的で革新的なマーケティングが行われています」
 
 

―連邦政府はワーキングホリデーメーカーで、地方にて農産業などに特定の期間就けば、ビザが3年まで延長できるように方針を変えると発表しました。これはオーストラリアに長く滞在したいと思っている日本の若者たちにとっては朗報だと思います。この制度が軌道に乗るか、またなぜオーストラリア政府は2年から3年に延ばしたのか、お考えをお聞きできますか?日本政府もアジア諸国から労働力としての移住の受け入れを始めましたが、賃金や環境、言葉の問題が既に上がっています。例えば、都市部での賃金は地方の賃金より高いが、労働力は地方が必要としている、などです。
 
「ビザについては連邦政府が取り決めていますが、私たちもより多くの留学生が当地の大学などで学び、日本の方にとって良い機会となるように連邦政府や関係者と一緒にそのような課題に取り組んでいます。私が東京に行った時、毎年、優れたプログラムによってパースへ生徒を送り出している東京都市大学の関係者にもお会いしました。農業でお仕事をすることについて、海外留学生が農場や農園での梱包のようなお仕事をするといった需要は確かにあります。それは、海外から来た若者にとってオーストラリアの生活の一面を知る上でとても良い経験になると思います。その仕事は長年の伝統でもあり、もし海外からの学生さんたちが農園へ行くことになれば、そのような梱包や仕分けといった作業をすることになるでしょう。そういった人たちが西豪州に来る際にもこの直行便を使うことになり、ここでも直行便就航の成果となるでしょう」
 
 

―日本は商業捕鯨を再開することを決めましたが、南極海や南半球では行なわないとしています。今回の直行便就航に伴い、日本からより多くの観光客が来て、クジラを観るホウェールウォッチングツアーを楽しまれると思います。たとえオーストラリア周辺で鯨は捕らないとしても、この日本の決定についてどう思われますか。
 
「西豪州政府の立場は、捕鯨を支持していません。オーストラリア政府は、日本の対応に反対を表明しています。この点については、私たちもオーストラリア政府の意向に賛成しています」
 
 

―最後に本誌読者の皆さんにメッセージをお願いします。
 
「皆さんの西豪州への貢献に感謝しています。オーストラリアに住む日本人や日本から西豪州へ移住した人々がビジネスや教育、スポーツの分野、そして文化的生活においてたくさんいらっしゃいますが、私はその日本人コミュニティとの係わりや交流をいつも楽しんでいます。皆さんはとても礼儀正しく、とても親切で、とても思いやりがあり、とても献身的で、勤勉であることは存じています。そんな皆さんにいつも感謝しております」
 


 
マーク・マガウワン 西豪州首相
公共部門管理大臣/州開発大臣/雇用・貿易大臣/連邦国家関連大臣


1994年~1996年にCity of Rockingham議員、1995年~1996年にはCity of Rockingham副市長を経て、1996年12月に西豪州議会に選出され、2012年1月から労働党党首を務める。そして、2017年3月に行われた西豪州議会議員選挙により労働党が政権に就き、西豪州首相に就任した。







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