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4試合ぶりのホームゲーム。必勝を期してピッチに立つグローリーイレブンだったが。



 
あとは選手入場を待つのみ。スターティングイレブン以外の選手や関係者が徐々に姿を消すドレッシングルームで、CKのフォーメーションを確認した背番号8番、太田宏介。視線の先は、“勝利への覚悟”だったと思う。
 

<Aリーグを知る記者の視点 A League Football Journalist’s Point Of View>
今シーズン(A League 2020-21 Season)から、Aリーグを知る記者の視点から更に詳しくパースグローリーの試合についてお届けする。

 

2020-21シーズンAリーグ パースグローリー試合結果
Matchweek 17(2021年4月18日)
Perth Glory 1 – 3 Wellington Phoenix 会場:HBF Park

 
 
この日は、グローリーにとっては相性に良い相手、Wellington Phoenixとの試合。ホームでの過去6戦はグローリーが6連勝を飾っている。

開始7分の太田からのクロスは両チーム通して最初の決定機だった。そして、15分には背番号20番のCarlo ArmientoがPA内で倒されVAR判定にまでなったが、PKにはならなかった。Phoenixの2選手の足がArmientoの足にかかっているかのように見えたが、それ以前にひとりのDF選手の手にボールが明らかに当たりハンドの反則の可能性もあったが、PKの判定は下りなかった。

そして、23分にはそのArmientoから背番号7番、前節で14ヵ月ぶに復帰、スターティングメンバーでは2019年12月以来となったChris Ikonomidisにパスが通り、Ikonomidisがワンタッチでシュートを放つもボールは惜しくもGKの正面へ飛んでしまった。また、32分には同じ形でIkonomidisがフィニッシュを迎えるも、その時は相手DFにブロックされた。

前半38分、スタンディングオベーションで観客席から拍手が送られる。U17とU23の豪代表として将来が有望視されていたパース出身のDylan Tombidesが、2014年4月18日に精巣がんにより20歳で命を落とした。そのTombidesの背番号だった38番にちなんで、前半38分から一分間、電光掲示板にはTombidesの写真が映し出され、手を叩く音がスタジアムにこだました。

44分には背番号9番のBruno Fornaroliと背番号10番のAndy Keoghのパス回しから、最後はストライカーのFornaroliがシュートを放つも相手DFに当たり、CKとなった。そして、前半アディショナルタイムもPA内のルーズボールをIkonomidisがシュートするも、ボールは僅かゴールの左に反れた。

前半のスタッツは、Phoenixのシュート7本に対してグローリーの12本、また、ポゼッションはPhoenixの38%に対して、グローリーの62%とグローリーがいかに試合を優位に進めていたか、数字からもわかる(試合通してのポゼッションもグローリーの61%とPhoenixの39%)。

しかし、後半から試合の様相が一変する。

カウンター狙いのPhoenixのその策にはまってしまうグローリー。56分(後半11分)、自陣からグローリーDFの裏に一本の縦パスを送るPhoenix。そこはグローリーの守護神、背番号33番のLiam Reddyが一度は相手FWの突破を阻止するも、セカンドボールをPhoenixの背番号18番、Ben Waineに拾われ、40mちかいロングシュートを無人のゴールに決められた。自陣からの最初のパスがオフサイドだったといったグローリーの抗議は受け入られなかった。

ただ、前節にグローリーに復帰した背番号11番のJoel Chianeseが2試合連続の得点で一度は試合を振り出しに戻したものの、Phoenixは8分後に勝ち越し点、9分後の75分(後半30分)には追加点を奪う。試合内容では優位に進めていたものの、スコアボードは3-1となってしまった。

3点目の失点は、途中出場のチームキャプテン、背番号17番のDiego Castroへのパスがカットされ、カウンターによって失点となった。今のグローリーのチームの状態を顕著に表わしている失点ではあったが、ベンチからもCastroへパスを出すように指示が再三飛ぶ中の、Castro依存が生んだ失点だったとも言える。

その後の試合展開は、グローリーがなんとか追いつこうと攻撃し続ける。しかし、勝てない試合が続くグローリーにとっては2点目が遠かった。

4月10日より新型コロナウイルスの着席収容人数のレギュレーションが解け、スタジアムの集客が100%まで許された。その影響もあり、この日の観客は1万人近い、今シーズン最多の9,229人がスタジアムに足を運んだ。ただ、試合終了直後にはその観客からブーイングが起こった。

前節同様、PA内に蹴り込むチャンスボールは両チーム最多の5回(前半終了時)を記録した太田は、この試合もコンスタントな活躍を見せた。3月27日以来の4試合ぶりのホームゲームで必勝を胸にピッチに立った太田だったが敗戦の結果を受け、言葉なくスタジアムを後にした。

 
【試合結果】
Perth Glory 1 – 3 Wellington Phoenix

得点:
<Perth Glory>
Joel Chianese(58分)

<Wellington Phoenix>
Ben Waine(56分)
Louis Fenton(66分)
Jaushua Sotirio(75分)‎

 
 
文:今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のAリーグの開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとしても、パースグローリーのホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。2020年よりパースグローリー日本地区担当マネージャー兼任。
 
 
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