今回は、両リーグにおける選手の給料について“戯論”ってみたいと思います。給料はプロサッカー選手を生業にしている人にとって自分の評価がいかほどか?を測る重要なものさしです。
まず、Aリーグの選手の給料について話す時、「サラリーキャップ制度」を理解する必要があります。サラリーキャップ制度とは、リーグが各クラブに年棒総額に上限を設け、クラブ経営における支出の調整と戦力不均衡を防ぐことを目的としたものです。Aリーグはこのサラリーキャップ制度を採用しており、各クラブの年棒総額の上限を320万ドル(日本円で2億3,600万円)としています(※外国籍とオーストラリア国籍のそれぞれ一人<計2選手>のみこの制度の制限を受けないマーキープレーヤーの獲得が許されています)。
そこで、2018年英国タブロイド紙『デイリーメール』が発表した世界各国のリーグ一選手の平均年棒額とランキングが発表されていました。そこで恒例の質問です。
Q AリーグとJリーグの平均年俸額と、世界のサッカーリーグにおいてそれぞれ何位となっているでしょうか?
A 正解は、Aリーグは日本円にして平均1,195万円の年俸で、世界では29位。Jリーグは平均2,325万円で、世界では24位でした。
ちなみに、ランキングトップの英国プレミアリーグの平均年棒額は4,1600万円で、Aリーグは約35分の1、Jリーグは17分の1となっています。随分開きがありますね。参考までに、アジア諸国の他のリーグでは、中国超級リーグが世界15位。平均3,841万円でした。Aリーグと同じ様にサラリーキャップ制度を敷いているアメリカのMLS(メジャーリーグサッカー)は世界22位。平均2,487万円となっています。オーストラリアや日本とり高かったのが少々驚きでした。
なお、Aリーグは各クラブ選手を最低20人以上保有しなければならないというルールがあるので、マーキープレーヤーにならない限り高額のお給料を稼げる可能性は低いでしょう。サラリーキャップ制度に抵触しないマーキープレーヤーの最高年棒額がいくらなのか気になるところですが、正式な発表がありませんでした。推測ですが、Aリーグ史上最高年棒がどうやら昨シーズンメルボルン・ヴィクトリーに所属した元日本代表の本田圭佑選手で、推定3億円とも4億円とも言われています。
Jリーグでは現在、ヴィッセル神戸に所属するアンドレス・イニエスタ選手が推定約33億円で史上最高だそうです。Jリーグではサラリーキャップ制度のような選手の年棒に関する制限は今のところありません。なので高額年棒が稼げる可能性があります。本田選手やイニエスタ選手の年棒が推定なのは、特に選手や代理人、クラブが選手の給料を発表する義務がなく、各クラブの決算内容などから各報道機関が想像するしかないからです。
さて、プロリーグが存在する両国の若年層は将来の夢としてプロサッカー選手を選択する人が増えてきましたが、プロサッカー選手の選手生命の短さを勘案するとできる限り短い間に生涯生活できる給料を稼がなければと思う選手もいるでしょう。両国にとって高額の給料を稼ぐためには高いハードルを越えなければならない実情があります。やはり経済的な面から欧州メジャーリーグへ若くして移籍し、将来逆輸入される以外両国で高額な給料を稼ぐ方法は今のところなさそうです。
【筆者:junchang】2010年よりサッカーについての独自の見解を自身のブログ「junchang & the MFF」に掲載。1日2万ページビューを記録することもあり、記事がlivedoor系サッカーサイト「SOCCER JOURNAL(サッカージャーナル ※現在閉鎖中)」に転載されたこともある。 ブログ:http://blog.livedoor.jp/junchang512/