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【パースエクスプレス・マガジン】第58回「AリーグとJリーグの外国人枠(その1)」

突然ですが、筆者はサッカーのテレビ放送はなるべくならオンタイムで観ることを心がけています。5月に入り、欧州ではリーグ戦やカップ戦が佳境を迎え見逃せない試合が多いですが、これらの放送時間は真夜中がほとんどで、なかなかテレビ観戦ができていないのが現状です。残念ですが…。
 

さて、欧州メジャーリーグや欧州カップ戦を観たいと思うのは、やはり所属している選手たち、特に莫大な移籍金や年俸のスター外国人選手のプレーが観たいとう理由も一つだと思います。そこで、オーストラリアと日本両国では、どの様な国から来た外国人選手たちがいるのかご存知でしょうか?早速ですが、ここで恒例の問題です。

 


Q  両国のリーグに所属する外国籍選手の出身国は何か国あり、どんなところがあるでしょうか?

A  Aリーグは18カ国、Jリーグは21カ国あります。どんな国かは以下にご紹介します。

 

※参照元: Aリーグ、Jリーグともに公式ホームページ。2019年4月現在で、Aリーグは2018-19シリーズ、Jリーグは2019シリーズのそれぞれ1部リーグのみ。外国籍出身ながら日本、またはオーストラリアのビザ取得の選手や、Aリーグに関してはニュージーランド国籍は含まれず。
 

Aリーグ所属外国人国籍と人数
1. スペイン 7人
2. オランダ 6人
3. アイルランド 4人
4. イングランド 4人
5. デンマーク 4人
6. ドイツ 4人
7. フランス 2人
8. ポーランド 2人
9. イラン 1人
10. スウェーデン 1人
11. セネガル 1人
12. セルビア 1人
13. トルコ 1人
14. 日本 1人
15. ブラジル 1人
16. ベネズエラ 1人
17. ベルギー 1人
18. ポルトガル 1人
(計47人/10クラブ)
 

Jリーグ所属外国人国籍と人数
1. ブラジル 43人
2. 大韓民国 17人
3. スペイン 6人
4. タイ 6人
5. クロアチア 3人
6. オーストラリア 2人
7. アルバニア 1人
8. イタリア 1人
9. イングランド 1人
10. ウズベキスタン1人
11. オランダ 1人
12. コロンビア 1人
13. ジャマイカ 1人
14. スウェーデン 1人
15. セルビア 1人
16. 中国 1人
17. ドイツ 1人
18. トルコ 1人
19. モザンピーク 1人
20. ポーランド 1人
21. ルクセンブルク1人
(計92人/18クラブ)
 

結果はこうなりました。どうでしょうか、こうしてみると両リーグとも特徴がありますね!
 

Aリーグは国が極端に偏ることなく、しかしほぼ欧州国なのが特徴的です。オーストラリアと欧州の繋がりと歴史を感じます。中でもここ数年で、スペイン国籍の選手が急増しているようです。1990年代後半はイタリアの「セリエA」、2000年に入りイングランドの「プレミアリーグ」、そして2010年前後からバルセロナやレアル・マドリードが牽引するスペインの「リーガ・エスパニョーラ」の活況も影響しているのでしょう。
 

しかし、Aリーグでのスペイン人選手が最初にプレーしたのが2011シーズンからという記録が残っています。つまり、2005年のリーグ開幕以来、2011年までスペイン人プレーヤーはAリーグにはいませんでした。ただ今回の検証では最多の7人がスペイン人プレーヤーでしたが、この傾向の火付け役は2014年前後のAdelaide Unitedと言っても過言ではないでしょう。多くのスペイン人プレーヤーを招き、チームを作りました。Jリーグ2019年シーズンからヴィッセル神戸に加入したスター選手、スペイン人プレーヤーのDavid Villa選手もAリーグ2014年シーズンにゲスト選手としてMelbourne Cityでプレーしたのも記憶に新しいでしょう。
 

そして、忘れてはならないのが、現在ファイナルシリーズ真っ最中のAリーグ2018-19シーズンで初のチャンピンを狙うパースグローリーのキャプテン、Diego Castro選手もスペイン人プレーヤーです。パースグローリーにはCastro選手以外にももう一人スペイン出身の選手がいます。
 

一方、Jリーグは大多数をブラジルと韓国が占め、その占有率は約7割になります。また、その他アジア地域の国籍選手が近年増えてきたのが特徴的です。アジアの中では強国になりつつある国、特にタイ国籍の選手たちの浸透が目立っています。タイ代表は先日行われたアジアカップでも健闘しており、国内のサッカー強化が進んでいるということからも、今後更に増えることが予想されます。
 

このように両国リーグ比較では興味深い数字が出ましたが、リーグ戦のレギュレーションに差があることは事実です。Aリーグは保有できる外国人枠は最大でも5人です。アジア枠としてAFC加盟国からであればそれとは別に1人保有できますが、その特別枠を最大限に利用できていません。Jリーグにあれほど韓国籍の選手がいるのに、Aリーグには一人もいないのはせっかくのアジア枠がもったいない気がします。
 

また、近年アジアのプロリーグが外国人枠を閉め出している現状(中東や中国リーグでは外国人枠削減の動きがあります)の中で、Jリーグがアジア圏内でのプレミアリーグ化を推し進めており、レギュレーションはより外国人に門戸を拡げています。オーストラリアは、今後外国人枠に関しどちらを目指していくべきなのか?外国人枠を限定するのか?Jリーグの様に拡げていくのか?目指すべき目標によって変えていくべきでしょう。両国が協力しあって切磋琢磨をしていくのであれば、性格の違うリーグ同士の方が互換性があり、よりやりやすいのかもしれませんが…。
 

次回は、この「AリーグとJリーグの外国人枠」のテーマを引き継いで、外国人枠とは?から始まり、今後この外国人枠がどのようになるか検討してみたいと思います。


【筆者:junchang】2010年よりサッカーについての独自の見解を自身のブログ「junchang & the MFF」に掲載。1日2万ページビューを記録することもあり、記事がlivedoor系サッカーサイト「SOCCER JOURNAL(サッカージャーナル ※現在閉鎖中)」に転載されたこともある。 ブログ:http://blog.livedoor.jp/junchang512/







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