【前回までのあらすじ】
沢田百々子、45歳。車中で恩田正平に拘束されるも、助手席のRisaがリュックサックから拳銃を取り出し、銃口を正平に向けた。
沢田百々子、45歳。車中で恩田正平に拘束されるも、助手席のRisaがリュックサックから拳銃を取り出し、銃口を正平に向けた。
第35走者
喜多方
背中に感じる2色の光に意識を取られ、Risaは一瞬、後ろを振り向く。その隙を待っていたかのように正平は、両手で抱え込んでいた百々子の両足をRisaに投げつけた。その拍子に百々子がシートから転げ落ちる。
その転げ落ちた音に反応するかのようにRisaは引き金を引いた。鈍い音と共に弾は車の天井を突き抜けた。今までに感じたことのない手への発砲の振動に動揺したRisaは、次の瞬間、正平に手首を捕まれた。
「Don’t move」
正平の目は、どこかで見たあの目へと変貌していた。Risaの拳銃は、正平の右手に納まっている。左手はRisaの手首をなおも締め上げている。赤と青のライトが複数になって重なっていった。
「Risa、そのまま運転席に移動して、車を出せ。早くしろ…」
銃口はRisaの右のこめかみに当てられていた。ゆっくり前を向くRisa。ただ、ガラスが曇っていて外は何も見えない。エンジンをかける。外がかなり慌しくなった。百々子は運転席と助手席の間から見上げるようにフロントガラスに目をやった。
「窓を拭かずにとにかく車を出せ」
Risaはギアをドライブに入れて、アクセルを踏んだ。
第36走者へ続く
【投稿募集】
このコーナーでは皆さんからの『リレー小説』を募集しています。あなたの文章を本誌誌面でカタチにしてみませんか?
応募方法 | :メール、または郵送 |
---|---|
宛先 | :《メール》info@theperthexpress.com.au 又は下記のボタンを押して投稿フォームよりご応募下さい。 :《郵送》66 Parry Street, Perth, 6000 Western Australia ◀︎こちらの宛先までお送り下さい。 |
件名 | 『リレー小説』係 |
※編集、締め切りの都合上、手直し後の確認の返信がない場合は、掲載を了承したものとさせていただきます。また、郵送いただいた文章の返却はいたしかねます。