【前回までのあらすじ】
沢田百々子、45歳。警察に包囲された車の中で恩田正平が過去の自分について話し始める。そして人格形成には父親の影響が大いに関わっていたことを同じ車の中にいた百々子も聞くことになる。
沢田百々子、45歳。警察に包囲された車の中で恩田正平が過去の自分について話し始める。そして人格形成には父親の影響が大いに関わっていたことを同じ車の中にいた百々子も聞くことになる。
第43走者
東
自分の子ども頃の生い立ちを話す恩田正平は、いつの間にか冷静さを取り戻していた。逆にその冷静さによって百々子はまた危害を加えられないかと警戒を強めていた。そんな時、外の様子が一変したのを百々子は感じ取っていた。
正平はゆっくり腰を挙げ、上半身の向きを変えて座り直した。古い車ゆえにサスペンションが収縮する音が聞こえた。そして次の瞬間、運転席と助手席のドアが一斉に開いた。闇夜の空気が車内に流れ込むと同時に、黒い影が両席に向って差し込むように入った。だが、すかさず足元に落っこちていた銃を拾い上げシート越しに2発、正平は発砲した。
銃で仕留めようとした影の跡形はなく、運転席と助手席には誰もいなかった。そして直ぐに、助手席側にいた百々子は反射的に手を伸ばしてドアを閉めた。運転席側は正平が対応し、後部座席から運転席に飛び乗った。
第44走者へ続く
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