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「協和キリン」2連覇なるか?『内閣総理大臣杯 日本卓球リーグプレーオフ JTTLファイナル4』

 
日本の卓球競技団体戦の最高峰リーグである『ケアリッツ・アンド・パートナーズ 後期日本卓球リーグ(日本卓球リーグ)』で名門実業団チーム「協和キリン」が、埼玉大会(11月12~16日)にて優勝を決めた。その「協和キリン」を名実ともに牽引するのが、監督兼選手の松平賢二選手だ。

松平選手といえば、今年2025年にパースで開催された西豪州卓球協会主催の『2025 ELITE INTERNATIONAL OPEN CHAMPIONSHIPS』に招待選手として参加し、パースの卓球ファンに強烈なインパクトを残したことでも記憶に新しい。ここでは、当大会での松平選手や“チームジャパン”の活躍を振り返る。
 


年間総合優勝をかけ『内閣総理大臣杯 日本卓球リーグプレーオフ JTTLファイナル4』に臨む「協和キリン」

日本卓球リーグは、前期と後期に分かれて行われる日本の卓球競技(団体戦)の最高峰リーグである。そして、前後期総合4位までのチームによるプレーオフ『内閣総理大臣杯 日本卓球リーグプレーオフ JTTLファイナル4』が行われ、年間総合優勝が決定する。今年の後期優勝した「協和キリン」は、昨年の覇者でもある。今年は2連覇を目指す。その「協和キリン」の中心にいるのが松平賢二選手だ。パースに遠征で訪れた2025年を“優勝”と“連覇”で締めくくれるか、目が離せない!

開催日時:2025年12月6日~7日
会  場:YohaSアリーナ(千葉公園総合体育館)

■出場チーム 【男子】
総合第1位 協和キリン
総合第2位 愛知工業大学
総合第3位 シチズン時計
総合第4位 日鉄物流ブレイザーズ

■出場チーム 【女子】
総合第1位 デンソーポラリス
総合第2位 レゾナック
総合第3位 サンリツ
総合第4位 中国電力ライシス

詳しくは、こちらへ(一般社団法人 日本卓球リーグ実業団連盟オフィシャルページへ)。


 

松平賢二選手が躍動!パース開催の国際卓球大会

3月28日から3日間、西豪州卓球協会主催の『2025 ELITE INTERNATIONAL OPEN CHAMPIONSHIPS』がArena Joondalupで開催された。この大会には、世界卓球2025(ドーハ)に日本代表として出場した松平賢二選手ほか、”チームジャパン”が参戦し、かつてないほどの盛り上がりを見せた。


 

『2025 ELITE INTERNATIONAL OPEN CHAMPIONSHIPS』

2025年3月28日~30日の3日間に渡り、西豪州のArena Joondalupで行われた国際大会。選手やチームは全豪から、また日本や中国から参加。「男子シングルス」「女子シングルス」「混合団体」の3つのカテゴリーに分かれて、「男子シングルス」は予選で15グループに分かれて総当たり戦を行った後、上位30選手が決勝トーナメントに進み、金メダルをかけて戦った。「女子シングルス」は7グループの総当たり戦の後、優勝をかけて上位8選手が決勝トーナメントで対戦した。そして「混合団体戦」は、各グループに4チームが配置され、総当たり戦の後、上位各2チームが決勝トーナメントに進み、全8チームで頂点を目指した。 情報元:https://www.ttwa.org.au/events/274210

 


大会招待選手で第一シードの 松平賢二 選手


 

2024年6月に『2024年アジア卓球選手権大会兼世界卓球2025ドーハ大会の日本代表選手選考会』で見事優勝し、2013年以来、11年ぶりに日本代表へ返り咲いた松平選手。そして、同選考会の優勝により出場権利を獲得した『2024年アジア卓球選手権大会』でも順位決定戦で勝利し、『世界卓球2025ドーハ大会(2025年5月17~25日/カタール)』にも出場。そんな卓球界最大の舞台の前に、前哨戦と位置付けてパースで開催された『2025 ELITE INTERNATIONAL OPEN CHAMPIONSHIPS』に参加した松平選手に試合後、話を伺った。

スペシャル・インタビュー

質問:3日間の試合日程を終え、今の感想をお聞かせ下さい。
「本当に楽しかったです。充実していました。パースに到着してから関係者皆さんに本当に手厚い対応をして頂き、何不自由なくプレーさせて頂きました。最後に負けてしまいましたが、観戦に来られた観客の方たちも盛り上がってくれてる感じがありましたので、自分のプレーで会場の雰囲気も変えられたかなと思っています。自分にとっても良い経験をさせて頂きました。」

質問:29日の団体戦の負けと、本日最終日の個人戦の敗戦ではフィーリングが異なりますか?
「昨日は勝たなきゃいけないというプレッシャーの中、相手にうまくやられたような感じでしたね。今日は絶対に勝たなきゃいけない、勝ち切らなきゃいけない試合だったんですけど、相手が試合中に戦術を変えて、それに対して僕が対応できず、かつ欲しい時に得点がうまく取れませんでした。その欲しい時の1本、2本が終盤に差し掛かり点差が離れた時だったので難しい試合になってしまいました。そういった流れの中で、自分のメンタルが少しずつ後手に回ってしまっている感覚もありました。ただ、そのような反省点を感じられたのは久しぶりだったので、良い勉強になりました。」

質問:観光する時間はございましたか?パースの印象をお聞かせ下さい。
「パース到着の初日に少し観光をさせて頂きました。まず、観光地に行くまでの車の中から見えている景色が、僕は凄く好きでしたね。自然がいっぱいあって広々していて、そんなに高い建物もないし。それと、空気はきれいで、湿気も無いから過ごしやすいし、住みやすい所なんだなと思いました。次は家族と来たいなって思っています。」

質問:パースの卓球ファンに向けてエールを頂けますか?
「皆さんそれぞれの思いがあって卓球をやられていると思いますが、 僕も僕の思いで卓球に向き合っている中、こうやって素晴らしい大会に招待して頂き、そこで出会った皆さんも本当に卓球が大好きなんだなと感じました。ぜひ、これからも大好きな卓球を楽しんでプレーして頂きたいと思います。」

質問:今後のご自身の目標を教えて下さい。
「5月に世界選手権を控えています(編集部:世界選手権では1回戦に勝利するも、2回戦ではオーストリアの選手に惜敗)。それまでに大きな大会がなかったので、今回のこの国際試合は緊張感を感じられた中での実践となりました。サポートして頂いた大会関係者はもちろん、会場へ応援しに来て頂いた方たちには感謝しかありません。今回の経験も糧に、世界卓球ではメダルを取りたいとかそういう目標というより、今僕にしかできない、僕だからこそできることをしっかりお見せしたいと思っています。」
 

大会フィーチャード・プレイヤーとして活躍した松平選手


【プロフィール】
松平 賢二(まつだいら けんじ/Kenji Matsudaira)

卓球場や卓球専門店を経営する父の指導で卓球をスタートし、強豪青森山田中学、高校へ進学。青森大学時代は『全日本学生選手権』で2冠を達成し、2009年の『世界卓球横浜大会』で日本代表初選出。2013年世界卓球パリ大会』では弟の健太、妹の志穂も日本代表に選ばれ、3兄妹での世界卓球出場を成し遂げる。近年、実業団「協和キリン」卓球部の監督兼選手として日本リーグを中心に活躍し、『2023年全日本社会人卓球選手権大会』では男子シングルスで9年ぶり2度目の優勝。そして『2024年アジア卓球選手権大会兼世界卓球2025ドーハ大会の日本代表選手選考会』でも優勝。『アジア卓球選手権大会』の結果により2013年以来12年ぶりとなる『世界卓球2025ドーハ大会』にも出場した。


 


チームジャパンを支えた副将 中野優 選手


 

インタビュー

質問:当大会の出場のきっかけを教えて下さい。
「今大会にも出場している西豪州卓球協会の下条さん(後出)と知り合いで、この大会のことを聞き、招待して頂きました。実は、下条さんとはオーストラリアに来る前から連絡を取らせて頂き、オーストラリアへ来る際にいろいろと現地の卓球事情も聞いていました。」

質問:オーストラリアに来る前はどこでプレーされていましたか?
「アメリカが主でしたが、バングラディッシュではバングラディッシュ・ナショナルチームのコーチもしていました。スウェーデンや台湾でもプレーの経験があります。」

質問:今大会を振り返って頂けますか?
「今年の3月にシドニー入りして、オーストラリアで選手兼コーチをしていますが、それ以前までの期間、卓球から離れていたので試合感覚があんまり掴めず、コンディション的には厳しかったですね。自分の調整不足です。個人戦で予選は勝ち上がれましたが、本戦一回目で負けてしまいました。」

質問:パースの印象をお聞かせ下さい。
「パースに入ったのが他の選手より遅く、空港から直ぐに練習場への移動だったので観光はできてないですね。ただ、自然がいっぱいある感じですね。一つビックリしたのが、野生のカンガルーがいるって聞いたんですが?!コアラはいないけど、カンガルーは野生でいるんですね!笑」
 


【プロフィール】
中野 優(なかの ゆたか/Yutaka Nakano)

大阪桐蔭高校から法政大学、実業団のJR北海道を経て、アメリカやバングラディッシュ、スウェーデンや台湾で選手兼コーチとして卓球を続け、現在はオーストラリアのシドニーが活動の拠点。


 


地元の声援も後押しとなった 下条大樹 選手


 

インタビュー

質問:今回は地元からの参戦となりますよね?
「そうですね、現在、西豪州卓球協会所属の州代表チームのコーチ兼プレーヤーなので。」

質問:西豪州卓球協会で働くまでの経緯を教えて頂けますか?
「2019年のコロナ禍が始まる前くらいに、最初はブリスベンに入りました。その後、ゴールドコーストとケアンズ、シドニー、そしてパースへ移動しました。西豪州卓球協会で働くことになったのは、シドニーで知り合った卓球関係者の方の推薦です。ただ、今までコーチ業としての経験はそこまでなかったので自分が日本でどこまでの成績を残したかをアピールし、そして今の自分の実力を見せることで評価してもらい、今のポストに就くことができました。」

質問:西豪州卓球協会ではどのようなことをされているんですか?
「州代表チームのコーチ兼プレーヤーです。ただ、一日のルーティンとして、民間の卓球クラブや教室からの要請を受け、主に子どもたちにレッスンをしています。子どもたちが学校を終えてからなので、午後3時ぐらいからほぼ毎日です。週末はほぼ終日ですね(笑) ただ、州代表チームのコーチや自分の練習もあるので、卓球漬けの毎日です。」

質問:今回の大会を振り返って頂けますか?
「今回の大会もそうでしたが、自身のプレーよりも教えている子たちが活躍してほしいと考えています。今回は地元開催だったので、特にそう感じました。それと、自分のプレーを観た人から、この人に教わりたいという選手が出てきてくれるようになりたいと思っています。」
 


【プロフィール】
下条大樹(しもじょう だいき/Daiki Shimojo)

中学校の部活から本格的に卓球を始め、その後、高校と大学は卓球の推薦で進学。大学卒業後、直ぐに渡豪。現在は、西豪州卓球協会所属の州代表チームのコーチ兼プレーヤー。


 


国際大会の大舞台を経験 石井日菜 選手


 

インタビュー

質問:ご自身と卓球との関係を教えて下さい。
「卓球は6歳の時から始め、高校も大学も卓球で推薦を頂き、プレーしてきました。ただ、大学4年生の最後の大会で卓球は終わりにして、英語を勉強するためにオーストラリアへ行くと決めていましたが、いざ大会が終わってみて、卓球とは別れられなかったですね。」

質問:パースに来るきっかけは?
「西豪卓球協会の下条さん(前出)は自分が卒業した大学の先輩なんです。オーストラリアに来る前に下条さんに連絡を取って、パースのクラブチーム『TOP SPINS TABLE TENNIS CLUB』を紹介してもらいました。その後、練習を見学しに行き、クラブのオーナーから“コーチングしてみない?”と声をかけてもらい、今に至る感じです。」

質問:今大会を振り返っていかがでしたか?
「国際大会に出場するのは初めてだったので、どのぐらいの規模の大会で、どのぐらいのレベルの選手が参加されるのか自分の中で全く予想がつかなかったですが、初めての経験だからこと楽しめたらいいなと思っていました。試合はめちゃくちゃ緊張しました!シングルでは予選は通過しましたが、本戦一回戦で負けてしまいました。団体戦も準決勝で負けてしまいましたが、シングルで負けた時よりも悔しかったです。チームのための貢献ができなかったからだと思います。」

質問:今後の目標をお聞かせ下さい。
「パースでコーチングを続け、しばらくは卓球を続けると思います。楽しみながら、自分のための卓球をしようと考えています!」
 


【プロフィール】
石井 日菜(いしい ひな/Hina Ishii)

大学を卒業して2024年にパースへ。パースのクラブチーム『TOP SPINS TABLE TENNIS CLUB』でコーチングをしながら、自身も選手として大会に参加。今年の4月にはメルボルンで開催された全豪大会に出場。


 


大会を裏方としてサポートした 平田恵 さん

質問:この大会にはどのようなかたちで係わられたのですか?
「まず、松平選手に出場依頼の連絡をし、並行してチームジャパンのメンバー構成を行いました。各選手に出場依頼を承諾して頂いた後は、パースへの渡航準備から渡航後の宿泊先、試合開催中の食事などの手配をさせて頂きました。自分は卓球協会の会員でもあって、プライベートでも卓球をしているので、純粋な卓球愛から少しでも皆さんのお役に立てればと思い、当大会に係わらせて頂きました。」

質問:大会運営で大変だったこと、次回に活かしたいことは何でしたか?
「やはり、大会の告知や事前のプロモーションは難しかったですね。一人でも多くの方に会場に足を運んで観戦して頂きたかったですが、まだまだでしたね。松平選手というビックネームがプレーする姿はなかなか直に観ることはできないと思いますが、告知が届かなかった部分もあったと思います。次回、またこのような機会があれば、もっと多くの方に来場して頂けるように協会側と連携を取りながら事前告知や宣伝ができればと思いました。」


 

オーストラリアの卓球

国際卓球連盟のホームページ上にて、オーストラリア卓球協会が「オーストラリアの卓球人口が20万人を超えた」と発表したことが伝えられた。2019年に16万8千人だったが、2022年に20万人を超え、3年間で47%も増加したとのことだ。オーストラリア国内のスポーツ競技人口は、多いところでサッカーの191万1千人(2024年)やバスケットの130万人(2025年)だが、国内で最も人気のあるオーストラリアンフットボールは52万8千人(2024年)、クリケットは62万7千人の競技人口となっている。そして、オーストラリアのスポーツといえばラグビーと連想しがちだが、実はラグビーの競技人口は23万人(2023年)と前述した卓球とそこまで大差はない。

豪州卓球協会(Table Tennis Australia、略称:ITTF)
オフィシャルホームページ:https://www.tabletennis.org.au
西豪州卓球協会(Table Tennis Western Australia、略称:TTWA)
オフィシャルホームページ:https://www.ttwa.org.au

 


【文/写真】 今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のオーストラリア・プロサッカーリーグ『Aリーグ』の開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとして、パースに本拠地を置く「パースグローリー(Perth Glory)」のホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。また2020年は、パースグローリー日本地区担当マネージャー兼通訳として当時パースグローリー所属の太田宏介氏をサポート(関連記事はこちら)。2022年にはWA州のNPLで活躍した今田海斗氏の通訳も行う(関連記事はこちら)。またサッカーのみならず、スポーツ全般において、特に当地で活躍する日本人にフォーカスをおき、取材や撮影、執筆を行う。


【情報元】
一般社団法人日本卓球リーグ実業団連盟
国際卓球連盟(International Table Tennis Federation/ITTF)
オーストラリア卓球協会(Table Tennis Australia/ITTF)
西豪州卓球協会(Table Tennis Western Australia/TTWA)

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