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両チームで日本人選手が4名!Western United FCの日本人3選手が攻守の要で劇的勝利にも貢献!

10試合を終え、1勝7敗2引分けのPerth Glory。13チーム中12位に低迷し、ホームでの勝利、勝ち点はまだない。そして、迎えた2025年の最初の試合。Gloryの背番号11番、青山景昌はベンチ外、Western United FCの背番号6番の今井智基と背番号77番の檀崎竜孔はスターティングメンバーに名を連ね、背番号9番の指宿洋史はベンチスタートとなった。
 

<Aリーグを知る記者の視点 A League Football Journalist’s Point Of View>
Aリーグを知る記者の視点から更に詳しくパースグローリーの選手紹介や試合結果についてお届けする。

 

【試合結果】

Isuzu UTE Aリーグ2024/25シーズン(Round 12)
Perth Glory 2 – 3 Western United FC (前半:1 – 1)

得点:Perth Glory(29分Adam TAGGART、66分Jarrod CARLUCCIO/Western United FC(32分Matthew GRIMALDI、91分Tate RUSSELL、95分Jordan LAUTON)


<ウォーミングアップをするWestern United FCの日本人3選手の今井、檀崎、指宿(写真上から)>


<Perth Gloryのリーグ戦ホームゲームの勝利は、昨年の2月17日まで遡る(対Brisgan Roarに3対2で勝利)>


<昨シーズンはリーグ最下位(12位)だったPerth Glory。ただ、Western United FCも11位と苦渋のシーズンだった>
 

合序盤、檀崎のプレーは左サイドでGloryのディフェンダーの脅威となっていたが、先制点を入れたのはホームチームだった。この日、Aリーグデビューを飾った背番号25番のJaylan Pearmanからのパスを受け、Jリーグ・セレッソ大阪にも在籍していた背番号22番のAdam Taggartがゴールを決める。しかし、Gloryの今シーズンの不調を絵に描いたように3分後には、試合は振り出しに戻った。

後半開始からWestern United FCはストライカーの指宿をピッチに送り出すも、66分にGloryが追加点を挙げる。これに奮起し、Western United FCも最終ラインの今井からのビルドアップや、指宿が長身を活かして攻撃の起点となり、Gloryゴールへ再三迫った。そして、スタジアムのディスプレイスクリーンに「90:00」と表示され、第4の審判によりアディショナルタイムが4分と告げられた直後、Western United FCはなんと同点とする。

無情にもホームでの初勝利が手のひらからするりとこぼれた瞬間、ファンからのため息に似たブーイングは今シーズン最大のものとしてスタジアムに響き渡った。しかし、試合はそこでは終わらなかった。4分後、Western United FCの途中出場の背番号44番、Jordan Lautonの見事なバイシクル・シュートが劇的にもネットを揺らした。
 


<試合後、プレーヤーズトンネルに最初に姿を現した指宿は「(後半に)相手に追加点を取られてからは厳しかったですね。でも、何とか勝てて良かったです」と安どの表情を浮かべ、試合を振り返った>


<指宿に遅れて、一緒にプレーヤーズトンネルに現れた今井と檀崎は「勝利おめでとうございます」の一言に、檀崎が「反省点ばかりですが」と渋い表情を浮かべた。Aリーグのチームで日本人選手が3人も在籍することにも「楽しくやらせていただいています。他の(オーストラリア人)選手からのリスペクトももらえているので」と話す今井だったが、一方、檀崎は「勝てば楽しいですが、負ければきついですね」と、クラブからの日本人3選手への期待がうかがえるコメントを残した。また、チームの状況にも檀崎は「今井選手と指宿選手が最年長なので!」に対して、今井は「若い選手が多いのでまとまって、団結すれば良い方向に進むと思います」とインタビューを締めくくった>


<Western United FCの監督、John Aloisiに「指宿の後半からの起用は?」には、「これからの連戦を見据えて温存した」と。また「これまでの日本人選手3人についてどう評価している?」の質問には「非常に満足している」と笑顔で応えた>


<記者会見で「これまでの試合で、前半45分で交代させるシーンを多く見るが、その選手交代は戦術、それともその選手がミスを犯したから?」といった質問を投げかけるとPerth Gloryの監督、David Zdrilicは「チームには若い選手が非常に多い。ゆえに経験がまだ足りない選手もいる。フィジカル面も同様、足りてない選手もいる。そして、少しでも多くの選手にチャンスを与えたい。交代させられたことが決して次の試合に影響するものではないが、なぜ交代させられたかを考え、次の試合で再出発してもらいたいという思いもある」と答えた>


<Perth Gloryの青山のサインも入っている日本国旗を持って、「今シーズンのGloryのホームゲームは全てスタジアムに応援しに来ています!」と話す日本人のPerth Gloryファン>

 

【2025月1月のPerth Gloryの試合日程】

(Round 11)1月8日 Sydney FC 3 – 0 Perth Glory (前半:0 – 0)
得点:Sydney FC(52分、77分、88分Joe LOLLEY)

(Round 13) Auckland FC
1月11日(土曜日) 6:45pmキックオフ 会場:HBF Park(★)

(Round 14) Western Sydney Wanderers FC
1月14日(火曜日) 6:45pmキックオフ 会場:HBF Park(★)

(Round 16) Newcastle Jets FC
1月25日(土曜日) 2:00pmキックオフ 会場:McDonald Jones Stadium

※(★)はホームゲーム、時間はパース時間。
 

<プロフィール(Perth Gloryの日本人選手)>

青山 景昌(あおやま ひろあき/Hiroaki AOYAMA)

生年月日:1996年10月14日
出身:愛知県津島市
身長/体重:169cm/65kg
ポジション:フォワード(FW)/ミッドフィルダー(MF)

名古屋グランパスのユースチームU12、U15、U18でプレー。トップチーム昇格を逃すも、中央大学に入学。翌年、びわこ成蹊スポーツ大学に編入。大学卒業後、2020年から福島ユナイテッドFC(J3)で2シーズンに渡ってプレー。そして、コロナ禍を経て、2022年に豪州シドニーのNSW州NPLのBlacktown City FCと契約。翌年の2023年は、同州NPLのMarconi Stallions FCへ移籍。1シーズン半を過ごし、2023年シーズンはチームにおける年間最優秀選手と選手が選ぶ年間最優秀選手の二冠を獲得。そして、2024年シーズン途中でPerth Glory(Aリーグ)と契約。NPLからAリーグへの契約を勝ち取った数少ない選手のひとりとなる。

 

<プロフィール(Western United FCの日本人選手)>

今井 智基(いまい ともき/Tomoki IMAI)

生年月日:1990年11月29日
出身:千葉県市川市
身長/体重:178cm/78kg
ポジション:ディフェンダー(DF)

大宮アルディージャのユースチームから中央大学サッカー部を経て、2013年に大宮アルディージャに入団。2015年には柏レイソルに、2018年には松本山雅FCに移籍。そして、2020年2月にAリーグのWestern United FCと契約。途中加入のシーズン初年度で全試合出場、翌2020-21年シーズンはチームをファイナルシリーズ・チャンピオンに導く。実際に同シーズンはクラブにおける最優秀選手賞を受賞。また2021-22年シーズン以降は試合出場を重ね、今シーズン(2024-25年)でチーム最年長在籍選手として7年目となる。本職はDFだが、リーグ戦唯一の得点は2020-21年シーズンの第3節のPerth Glory戦で記録する。

 

檀崎 竜孔(だんざき りく/Riku DANZAKI)

生年月日:2000年5月31日
出身:仙台市名取市
身長/体重:174cm/63kg
ポジション:ミッドフィルダー(MF)

青森山田高校卒業後、北海道コンサドーレ札幌に入団し、2シーズンを過ごす。2020年11月にAリーグBrisbane Roarへ期限付き移籍。エース番号10番を背負い、25試合出場9得点を記録。シーズン終了後、日本へ帰国し、ジェフユナイテッド市原・千葉や北海道コンサドーレ札幌でプレーするも、2022年7月にBrisbane Roarへ復帰。移籍期間はリーグ前半の2023年1月31日までだったが、その後、スコットランド1部のMotherwell FC(マザーウェルFC)へ完全移籍。そして、同年7月に3度目のAリーグとなるWestern Unitedへ。2023-24年シーズンはけが以外はコンスタントに試合に出場し、今シーズンも全試合出場中。

 

指宿 洋史(いぶすき ひろし/Hiroshi IBUSUKI)

生年月日:1991年2月27日
出身:千葉県流山市
身長/体重:195cm/85kg
ポジション:フォワード(FW)

高校卒業直前の2009年にJリーグを経験せず、スペイン2部のGirona Futbol Club(ジローナFC)とプロ契約を結び、スペインがプロサッカー選手としてのキャリアのスタート地となる。2012年にはSevilla Fútbol Club(セビージャFC)で1部デビューを飾る。その後、ベルギーでもプレーし、2014年に日本へ。アルビレックス新潟、ジェフユナイテッド市原・千葉、湘南ベルマーレ、清水エスパルスを経て、2022年にAリーグのAdelaide United FCと契約。3シーズン過ごしたAdelaide United FCでは74試合出場で30ゴールを記録。そして、2024年にWestern United FCへ移籍。

 


【文】 今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のAリーグの開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとしても、パースグローリーのホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。また2020年は、パースグローリー日本地区担当マネージャー兼通訳として太田宏介氏をサポート(関連記事はこちら)。2022年にはWA州のNPLで活躍した今田海斗氏の通訳も行う(関連記事はこちら)。


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