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【パースエクスプレス・マガジン】第54回「オーストラリアと日本2022年W杯に向けて」


 

明けましておめでとうございます。2019年の今年も、当コーナーご愛読宜しくお願いします。
 
本誌発行時点ではアジア杯(AFCアジアカップ/AFC Asian Cup)は既に開幕していると思いますが、そのアジア杯はW杯終了直後のタイミングで開催されるようになってから結果を求めにくくなった大会、戦略的にも難しくなった公式大会とも言われています。次のW杯予選に向けた最初のテストの機会として定着してきた感もありますが、代表のピークをこの大会にもってくることが難しくなってきていることは否めないでしょう。
 
 

さて、今年最初の恒例の質問です。
 

Q  「アジア杯→W杯予選→W杯本大会」を一つの サイクルとして、アジア杯はベスト4以上で成功、W杯予選は突破で成功、W杯本大会はグループリーグ突破で成功、としながら両国はどのような結果をもたらしてきたか、今回は検証してみましょう。

 

A  答えは、それぞれの国を一サークルごとに振り返って確認してみましょう。

 

【オーストラリア代表:2007年~2010年のサイクル】
2007年にインドネシア・マレーシア・タイ・ベトナム共催のこの大会からアジア杯に初めて参加したが、コンディション作りに苦戦しベスト8。失敗だったでしょう。その後臨んだ2010年南アフリカW杯予選では、最終予選でグループに同居した日本に勝ち越すなど盤石な戦いで首位突破。成功したといえるでしょう。W杯本大会ではドイツ、ガーナ、セルビアと同居したグループにて1勝1分け1敗でグループリーグ突破を果たせず。失敗といえるでしょう。
<結果>アジア杯:失敗/W杯予選:成功/W杯本大会:失敗
 

【オーストラリア代表:2011年~2014年のサイクル】
2011年のカタール大会のアジア杯はグループを首位で突破。日本との決勝戦では敗れはしましたが準優勝。成功したといえるでしょう。その後臨んだ2014年のブラジルW杯予選では、最終予選で日本と同居し最後までトップを争い、グループ2位で通過。成功といえるでしょう。2014年ブラジルW杯本大会はオランダ、チリ、スペインと同居し、3戦全敗。失敗でした。
<結果>アジア杯:成功/W杯予選:成功/W杯本大会:失敗
 

【オーストラリア代表:2015年~2018年のサイクル】
2015年自国開催のアジア杯は優勝を果たしました。成功でしょう。その後臨んだ2018年W杯予選は終盤かなり苦戦を強いられましたが、大陸間プレーオフを経由し、なんとか本大会出場を果たしたためギリギリ成功したといえるでしょう。2018年の記憶に新しいロシアW杯は1分け2敗で、失敗でした。
<結果>アジア杯:成功/W杯予選:成功/W杯本大会:失敗

 

【日本代表:2007年~2010年のサイクル】
2007年アジア杯は、オーストラリアとの激闘の準々決勝を経てサウジアラビアとの準決勝に臨みましたが敗れ、ベスト4の結果でした。なんとか成功したといえるでしょう。その後臨んだ2010年W杯予選では最終予選でオーストラリアの後塵を拝しましたが、グループ2位で勝ち抜け、成功したといえるでしょう。2010年W杯本大会はグループリーグをからがら突破し、ベスト16へ勝ち進みました。成功とえいえるでしょう。
<結果>アジア杯:成功/W杯予選:成功/W杯本大会:成功
 

【日本代表:2011年~2014年のサイクル】
2011年アジア杯は前出のとおりオーストラリアとの決勝に勝ち、優勝を果たしました。成功でしょう。その後臨んだ2014年W杯予選は3次予選にてウズベキスタンに負け、苦戦の末最終予選に挑みましたが、最終予選グループ首位突破を果たしました。成功したといえるでしょう。2014年W杯は1分け2敗、最強日本の前評むなしくグループリーグ敗退しました。失敗でした。
<結果>アジア杯:成功/W杯予選:成功/W杯本大会:失敗
 

【日本代表:2015年~2018年のサイクル】
2015年アジア杯は3戦全勝で決勝トーナメントに挑みましたが、準々決勝でUAEに敗れベスト8に終わりました。失敗でした。その後臨んだW杯予選は、苦戦の連続でしたが終盤にやっと本来の力を発揮し、最終的に同じグループにいたオーストラリアを退け、グループ首位突破。成功したといえるでしょう。2018年W杯本大会は運を味方につけ1勝1分け1敗にてグループリーグ突破を果たしました。成功したといえるでしょう。
<結果>アジア杯:失敗/W杯予選:成功/W杯本大会:成功

 

以上が、質問の答え(結果)となります。当然、結果には波がありましたが、やはりその結果のピークはW杯本大会のタイミングに合わせるのがサッカー協会や代表監督には求められると思います。W杯の結果がそのサイクルの成否を表すと筆者は思っています。極論を言えば、W杯本大会の結果が良ければそれ以外の結果が悪くともそのサイクルは成功だったと思っています。日本代表が【2007年~2010年のサイクル】で比較的良い結果を残したとはいえますが、そのサイクルの合間にはやはり紆余曲折があったわけですから。また、同レベルや格下との対戦が多いアジア杯やW杯予選での成功より、やはり格上との対戦が本道のW杯本大会の成功が本当の成功と言わざるを得ません。実際に、オーストラリアは3サークルとも失敗に終わっています。今後W杯本大会にて決勝トーナメント進出経験のある両国は、更にその上のベスト8の壁を越えて初めて成功したといえる時代がくるのでしょう。
 
さて、本稿執筆時点で今回のアジア杯初戦を戦い、強豪国の苦戦が今まで以上にクローズアップされています。W杯本大会終了のサイクルを終えた直後の難しいタイミングがそうさせていて、アジア杯の結果を受けていかにその後を修正できるかが、W杯予選の成否にかかることは前出の各サイクルでも証明されています。もし、アジア杯が仮に失敗したとしてもタイミング的に修正する時間は充分にあり、アジア杯をきっかけとして大胆な戦略変更も可能で、ゆえにW杯予選やW杯本大会では逆に成功できたサイクルがあるからです。
 
両国は、果たして現行のアジア杯で成功できるのでしょうか?!それとも失敗して、その結果を踏まえてW杯予選やW杯本大会で成功するのでしょうか?興味は尽きませんね。
 


【筆者:junchang】2010年よりサッカーについての独自の見解を自身のブログ「junchang & the MFF」に掲載。1日2万ページビューを記録することもあり、記事がlivedoor系サッカーサイト「SOCCER JOURNAL(サッカージャーナル ※現在閉鎖中)」に転載されたこともある。 ブログ:http://blog.livedoor.jp/junchang512/







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