オーストラリアの選挙制度 オーストラリアは民主国家のため、国会を構成する下院議員、上院議員は共に国民の直接選挙で選ばれます。1901年の連邦結成から、オーストラリアでは様々な選挙制度が取り入れられてきました。その中には世界に先駆けて行なわれたものもあります。

オーストラリアの選挙キーワード

秘密投票 投票の義務 今では日本でも当たり前のことのように思われている「秘密投票＝無記名投票」はオーストラリアが発祥の地。1856年にビクトリア州で行なわれた後、各州に広まり、1877年には西オーストラリア州でも秘密投票が実施されるようになりました。この秘密投票は、「オーストラリア式投票」とも呼ばれています。 オーストラリアでは満18歳以上の国民が選挙権を持ちます。投票は義務で、憲法改正を問う国民投票と連邦や州の選挙に投票しなければいけません。正当な理由なしに投票しなかった場合、20ドル以上の罰金を支払うことになります。この制度が導入された1924年以降、常に90％以上の高い投票率を保っています。 先順位付連記投票制 移譲式比例代表制 下院選挙で採用されている制度で、投票用紙に書かれてある立候補者全てに、1から順番に番号を付けていき、最終的に“1”を過半数得た候補者が当選となります。候補者が100人いれば、100まで番号を付けなければいけません。全てに番号が付けられていない投票は無効となります。 上院選挙で採用されている制度で、投票用紙は2段に分かれています。上段には、政党の名前が書かれていて、自分の選ぶ政党にだけ、“1”を記入します。下段には、候補者の名前が書かれていて、候補者全員に1から数字を付けていきます。有権者は、この2つの方法のどちらかを選ぶことが出来ます。

日本と違う！オーストラリアの投票制度

不在者投票 郵便投票 自分の登録している選挙区に投票日にいなくても、同じ州（首都特別地域、北部準州含む）にいれば、その区域のどの投票所でも投票できます。 投票日に自分の登録した選挙区にいなく、同じ州（首都特別地域、北部準州含む）にもいない場合、事前に選挙管理委員会に“一般郵便投票者”として登録していれば、配布された投票用紙を使って投票できます。日本の不在者投票はこれにあたります。また、この郵便投票は、宗教的な理由から投票所に行けない人や、1番近い投票所まで8km以上ある人に対しても認められています。 移動投票 選挙スタッフが自動車や飛行機などを使って施設や遠隔地等を訪問して、投票を受け付けます。移動投票には大きく分けて次の3種類があります。 ①遠隔地投票：1番近い投票所から20km以上離れて住んでいる有権者のために行なわれます。 ②刑務所投票：服役・拘禁中（刑期5年以内）の有権者のために行なわれます。日本の場合、禁固刑以上の服役囚（仮出獄中も含む）は投票出来ません。 ③病院投票：入院していたり、重病で投票所まで行けない人のために行なわれます。日本の場合、入院先が選挙管理委員会の指定施設であれば病院内で投票することが出来ます。

■過去の首相と野党第1党代表の移り変わり■

■News■オーストラリア連邦総選挙■ 保守連合、議席数を増やし 圧倒勝利 10月9日、オーストラリア連邦議会の下院全議席150と上院の約半数である40議席を決める連邦総選挙が行なわれ、即日開票された。11日の時点でハワード率いる自由党と国民党の保守連合の獲得議席数は83と総議席数の過半数を上回り、4選が確実となった。政権交代を狙った労働党は58議席に留まった。開票前には接戦が予想された今回の選挙だが、結果は議席を増やした保守連合の、圧倒的勝利に終わった。 今回の選挙の焦点はイラク戦争に対する国民の是非。「大量破壊兵器はなかった」としたアメリカの発表は、保守連合に痛手を負わせたかに見えた。しかし、イラク復興活動や対米協調路線への国民の支持は根強く、また、ハワード政権となってからのオーストラリア経済は好調で、その実績が今回の圧勝につながったと見られている。対する労働党は、イラク駐留軍のクリスマス前の撤退、長期政権に対し変化の必要性を訴えるなど一時は勢いに乗っていたが、安定性を強調した現政権には及ばなかった。保守連合の勝利により、イラク駐留軍の帰国はまだ先になる見通しで、英米とともにイラク戦争に参加したハワード政権を良しとしたオーストラリア国民の決断は、今後アメリカ、イギリスで行なわれる選挙の結果に影響すると見られている。 4選を果たしたハワード政権は、今年12月に就任8年9ヶ月を迎え、ホーク元首相に並ぶ戦後歴代2位の長期政権となる。しかし、アメリカとの強まる協調路線への不満や、現政権の医療・福祉に対する政策の改善を求める声は強く、ハワード政権の道は平坦とは言えないようだ。

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