私達が捨てたゴミは、回収され、その後一体どこへ行くのでしょうか。パースエクスプレス編集部員が西オーストラリア州最大規模のゴミ処理施設タマラパークを訪ね、ゴミの行方を追ってみました。


 家庭からのウィーリー・ビンに詰められたゴミは、週に一度の回収日を過ぎてしまえば、あとはサヨナラ・・・というのは各家庭での話。それらのゴミには、もちろんその後の行方が待っているのだ。  地域によっては、現状ほとんど分別を要求していないことを考えれば、答えは簡単、「埋める」しかない。しかし、一体どこへ? そこで、西オーストラリア州最大の埋め立て地を要するゴミ処理施設タマラパークを訪ねてみた。


資料・写真提供:
Tamala Park 営業時間:7:45am - 4:45pm 毎日営業
※クリスマス、ニューイヤー、グッドフライデーを除きます。
※リサイクルセンターも同様の営業時間です。
ホームページアドレス:http://
www.mrc.wa.gov.au/
◆タマラパークツアーの申し込みは08 9305 6942へご連絡下さい。

タマラパーク入り口にある地図
タマラパークは、ジュンダラップよりさらに北にあるMindarie(ミンダリー)という地区にある。そもそもタマラパークは、Mindarie Regional Council(MRC)により運営されている施設。MRCは、パース周辺の主要地域自治体、City of Perth(パース)、City of Joondalup(ジュンダラップ)、City of Stirling(スターリング)、City of Wanneroo(ワナルー)、Town of Cambridge(ケンブリッジ)、Town of Victoria Park(ヴィクトリアパーク)、Town of Vincent(ヴィンセント)の各カウンシルメンバーで構成され、合理的かつ将来的に有効なゴミ処理を研究して、実施する組織だ。  タマラパークの主要な業務は、ゴミの埋め立て処理、草木ゴミの処理、その他の埋め立て不要なゴミの適正処理、不要品の受け付けとリサイクル、など。このうち、特に気になる埋め立て地については、ゴミ回収車以外の進入は基本的に不可だが、あらかじめ申し込んでおけば、誰でも見学することができ、学校の社会科見学として訪れる学生も多いとか。  今回は、MRCでオペレーションを担当しているAllen Cartwrightさんが場内をくまなく案内してくれた。
 タマラパークが借り上げている土地・251ヘクタールでの埋め立てが始まったのは1991年。約48万人分の世帯のゴミが、毎日のべ150台のトラックにより運ばれ、埋められる(ゴミの持ち込みは、メンバー以外の地域、個人でも可能)。  各世帯からウィーリー・ビンに詰められ、カーブサイドからトラックに移されたゴミは、タマラパークのエントリー・ゲートでまず重量を測定する。このゲートの地面にあらかじめ測定器が設置されており、トラックはただ所定位置に停止するだけで自動的に測量され、同時に車両ナンバーを読みとり、1トンあたり51ドルの料金が後日請求されるという仕組み。ちなみに、内容物にもよるが、満タンのトラック1台あたりで、およそ半トンくらい。
ゲートで車ごと測量する

特殊ホイール仕様のブルドーザーで地面をならす


キレイな体で次のゴミ回収へ
 測量を終えたトラックは、一路埋め立て地へ。現在、91年から始まった第一区画の埋め立てが進行中で、18ヶ月後にはこの区画が満杯になるとか。埋め立て地では、トラックが落としていったゴミを踏みつぶしてならされ、同時に砂で覆う、という作業が繰り返される。埋め立て地には約50mほどの深さにゴミが埋められる。一区画の埋め立てが終わるまでの間、穴を掘って地下から水を採取し、ゴミの埋め立てによる地下水への影響がないかどうかをチェックするモニタリングが行われているそうだ。  一方、ゴミを降ろしてすっかり身軽になった各トラックは、出口手前の清掃エリアで水洗浄され、また次の回収へと向かっていく。
 実は、タマラパークの近隣500mには住宅街があるのだが、埋め立て地の周囲は小高い砂の丘で囲まれているため、周囲から中の様子が見えるようなことはない。また、ゴミから風で飛ばされるプラスチックバッグなどは、周囲に植えられた木々がキャッチしている。これらのゴミは、定期的に手作業で取り除かれるとのこと。かなりの重労働だ。  また、日本の埋め立て地同様、ゴミから発生するガスは、エネルギーとして還元使用されるシステムが施されている。  さて、ゴミが埋められた土地がその後どうなるかというと、表面に雨よけのカバーが施され(地下に汚水が浸透するのを防ぐため)、さらに再度土を敷き、その後は植樹を行い森へと復活する。
この区画が、来年の9月頃にはゴミで満杯に。

膨大な量の草木ゴミは、リサイクルで園芸用チップに
 ところで、パースは緑豊かな美しい街として世界的にも有名だが、その分、木々のせん定などから発生する草木ゴミの量も膨大。年間1万トンもの草木ゴミが、タマラパークに持ち込まれている。これらの処理は一般のゴミとは少し異なる。自然から発生したゴミは、自然にも優しい。草木ゴミは粉砕処理が施され細かいチップとなる。これらは、業者が引き取り、園芸用の土として蘇る。道ばたの木のたもとに、細かい木の繊維のような物が敷かれているのを見たことがないだろうか。あれこそ、草木ゴミの生まれ変わった姿。 アレンさんによれば、このビジネスは大きな利益にはならないが、同時に損にもならないとのこと。用途の残されているゴミを有効活用するのは、限りある埋め立て地を出来る限り長く使用するためにも重要なことなのだ。
 もちろんすべてのゴミが埋め立てに適しているとは限らない。たとえば、冷蔵庫や洗濯機といった、いわゆるホワイト・グッズは、本体内のガスを抜いた後スクラップされ、リサイクルされる。また、BBQコンロなどに使われるガスボンベは、有料でボンベ会社が引き取るとのこと。日本でも問題となっているアスベストは人体の影響を考慮しビニールでパッキングされてから埋め立てに回される。中には、まだ中味の入ったオイルや家庭洗剤、消毒剤などもあるが、これらは化学処理を施さなくてはならないため、現場でもコストも手間も掛かる作業とのこと。「これらの製品は、使用する分を的確に購入して、空になるまで使ってからゴミにしてほしいですね」とは、アレンさんの切実な願いだ。
Whitegoodsと呼ばれるのは、冷蔵庫、洗濯機、オーブンなど。
 

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