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パースエクスプレス Vol.207 2015年4月号

パースグローリー Perth Glory


号外ニュース
選手給与規定違反によりFFAがグローリーの
ファイナルシリーズ出場権剥奪を言い渡す!

 オーストラリア・サッカー協会(FFA)は、4月10日の午後1時(パース時間)、所属選手の契約規定を違反したとしてパース・グローリーに対してファイナルシリーズへの出場権剥奪、$26万9,000の罰金処分を科すと発表した。

 Aリーグの規定では、所属選手のサラリーキャップを合計$255万に設定しているが、グローリーは$40万を超過したとしている。今シーズンは、少なくとも6選手分のサラリーキャップを超過し、2012−13、2013−14、2014−15(今シーズン)の3シーズンに渡って隠蔽し続けたと報告している。これにより、リーグRound 27終了時に7位まで降格させ、同時にAFC CHAMPIONS LEAGUEの出場権も失うことになる。

  これを受け、グローリーは発表同日(10日、金曜日)の午後にFFAの決定の差し止め請求を西オーストラリア最高裁判所に提出したとしている。もし、この申請が受理された場合(13日以降)、グローリーはFFAが下した処分の撤回要求、または剥奪される勝ち点数の交渉になることが予想される。

  FFAの報告によると、サラリーキャップ内に含まれるべき選手の代理人手数料や渡航費、滞在費や社用車費、そして契約者以外の者や選手家族、選手への前払いが申請されていなかったことも理由に挙げている。

  この発表に対し、グローリーのチーフ・エクゼクティブのJason Brewerは、「1. クラブは今シーズン(2014−15)の全選手への支払いは、サラリーキャップの合計$255万以下と予測している。2. 全選手やコーチ陣、オフィス・スタッフへの支払いは、クラブの経理部から直接支払われており、その全ては独立監査人の監査を通して記録され、毎年FFAに報告されてれいる。3. クラブは今年の2月以降からのFFAからの要請に協力してきた。それに関して、サラリーキャップの超過はしていない(一部要約)」と明記し、また「クラブはFFAが発表した決定に対処するつもりだが、選手は残された試合も引き続き勝ち点を得ることが大切だと感じている」とグローリーのファンへ追記して、クラブの公式コメントとして締めくくっている。

10日のFFAの発表を受け、同日のSydney FC戦を前に観客席に姿を現すグローリーのオーナー、Tony Sage(上)とチーフ・エクゼクティブのJason Brewer(下)。

 また、この告知を受けた同日午後7:45キックオフのリーグ戦Round 25、対Sydney FC戦後の記者会見でグローリー監督のKenny Loweは「最後の最後まで戦う。それがモラルとしての責務だと考えている。私はクラブを代表してFFAの声明にコメントする立場でもなく、今はプロフェッショナルな人間の一人として、残りの2試合を全力で戦うだけだ」と話し、記者からの“ファンへ一言”の質問に目を潤ませ「あなたたちと同じように我々も傷ついた。一緒に毅然とした態度でシーズンを終えよう」と絞り出すようにコメントを残した。

  すでにFFAの決定に対する差し止め請求を提出したグローリーだが、13日(月曜日)以降の西オーストラリア最高裁判所の答申に注目が集まる。

Sydney FC戦後の記者会見で、涙を浮かべ、言葉を詰まらせながら無念の思いを口にする、グローリーのKenny Lowe監督。

【サラリーキャップ】 所属する選手に支払う年俸総額をリーグ全体の収入に基づいて上限金額を調整し、規定する制度。

【ファイナルシリーズ】 全10チームのAリーグでは、リーグ戦終了後、上位6チームがファイナルシリーズへと進出。年間勝ち点で3位対6位、4位対5位の勝者が1位または2位と対戦し、最終的な勝者が優勝するトーナメント方式を採用。グローリーは、2試合を残し3位に位置しており、6位のメルボルン・シティとの勝ち点差が「9」離れているので、ファイナルシリーズ進出は決定している。



【Round 21】2015年3月14日 vs Wellington Phoenix 
(nib Stadium) 1−2

Aリーグ加盟チームの中で最も移動距離を要する両チーム。この試合で222試合目とAリーグ最多出場記録を更新したGK、背番号1番のDanny Vukovicが2010−11年シーズンに在籍していたWellington Phoenixとの対戦。前半23分、ゴール前でDFの背番号19番、Joshua Risdonがクリアしたボールを背後にいたPhoenixの背番号21番、Roy Krishnaがすかさず足を出し、その足に当たったボールは無常にもゴールインとなった。だが、6分後に背番号8番のRuben Zadkovichが、約25mの豪快なミドルシュートをゴールに叩き込み、今シーズン自身初得点を上げ、同点に追いつく。拮抗した試合の中、後半33分、PhoenixのKrishnaが個人技で本日2得点を挙げる。この試合、黒星が付くと15ラウンド連続リーグ1位からの転落がかかっていたため、なんとか同点に追いつきたいグローリー。その後も、猛烈な追い上げをかけるものの、チャンスをゴールに結びつけることができず、あえなく敗退。勝利で勝ち点3を手に入れたPhoenixは、グローリーに代わり1位となり、グローリーは一気に4位へと後退した。

【左写真】ゴール前でのクリア・ボールにいち早く反応した、Phoenixの背番号21番、Roy Krishnaが先制点を決める(左から1人目)。【写真中央】 同点弾を決め、カメラに向かって喜びを爆発させる、背番号8番のRuben Zadkovich。【右写真】この日は攻守に渡って活躍を見せたRuben Zadkovich。空中戦でもフィジカルの強さを見せた(左から3人目)。

【左写真】背番号15番のJamie Maclarenは幾度とゴールに迫るも、ボールがネットを揺らすことはなかった(右から3人目)。 【写真中央】試合の流れをつかむためには背番号9番、Andy Keoghの得点が必要だったが、スコアボードには彼の名前は載ることはなかった。【右写真】背番号21番のScott Jamiesonは2失点ともに絡むなど、この日は精彩を欠いた。



【Round 22】 2015年3月22日 vs Central Coast Mariners 
(Central Coast Stadium) 1−1

Central Coast Marinersとのアウェーでの試合。両チーム共に数少ないチャンスがゴールポストやクロスバーに嫌われ、得点に結びつかなかったが、均衡が崩れたのは後半34分。背番号10番のNebojsa MarinkovicのCKを途中出場の背番号15番、Jamie Maclarenのヘディングシュートで先制した。しかし、勝利目前のグローリーはアディショナルタイムに、Marinersの背番号8番、Nick Montgomeryに約20mの見事なミドルシュートを土壇場で叩き込まれ、試合はそのままゲームオーバー。連敗こそストップさせたが、8試合ぶりとなる勝利をあと一歩のところで逃してしまった。



【Round 23】 2015年3月28日 vs Western Sydney Wanderers (nib Stadium) 3−2

Aリーグの中でも熱狂的なファンをもつWestern Sydney Wanderers。背番号3番の田中裕介は左のDF、背番号10番の高萩洋次郎はMFで共にスタメンで出場。Wanderersをホームに招いたパースグローリーは、前半13分にWanderersの背番号17番、Romeo Castelenに先制を許す。しかし後半10分、Wanderersの田中のヘディング・クリアーボールがゴール前に上がり、グローリー背番号11番のRichard Garcia、背番号16番のSidnei Sciolaと渡り、同点に追いつく。そして、後半23分、背番号21番のScott JamiesonのCKを背番号5番のRostyn Griffithsがヘディングで合わせ追加点。一方、Wanderersは高萩の鋭いラストパスでグローリー・ゴールへ再三迫る。そして27分、グローリーの不用意なパスがカットされ、Wanderersの背番号14番、Kerem Bulutが同点とする。試合はこのまま終了のホイッスルかと思いきや、42分に背番号27番のDragan Paljicからのパスを背番号19番のJoshua Risdonが豪快にゴールネットを揺らし、グローリーは実に9試合ぶりとなる勝ち星をホームで挙げることになった。一方、フル出場の日本人両選手は、Wanderersを連勝へともたらすことはできなかった。

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【左写真)Wanderersの背番号17番、Romeo Castelenが、この試合のファースト・ゴールを決める。【写真中央)ヘディングのクリアでグローリーの攻撃の芽を摘むWanderersの背番号3番、田中裕介。【右写真】追加点で喜びを爆発させ、発煙筒を焚くグローリーの熱狂的サポーター。

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【左写真】積極的に高い位置からプレスをかけるWanderersの背番号10番、高萩洋次郎。
【写真中央】Wanderersの背番号14番、Kerem Bulutのシュートは冷静に枠を捉え、同点とする。 【右写真】攻撃参加のDF、背番号19番のJoshua Risdonのミドルシュートが決勝点となった。



【Round 24】 2015年4月6日 vs Newcastle Jets (Hunter Stadium) 2−0

連勝して、このまま波に乗りたいグローリー。前半は、Newcastle Jetsの猛攻にディフェンス陣が必死にゴールを守るかたちとなり、スコアレスで折り返す。そして後半開始5分、背番号16番のSidnei SciolaのミドルシュートをGKが弾き、そのルーズ・ボールを背番号15番のJamie Maclarenがゴール前へ。マークを掻い潜った背番号9番のAndy Keoghが頭で合わせ、待望の先制点を奪う。その後もJetsが果敢にゴールを狙うもフィニッシュの精度を欠く中、後半39分、背番号10番のNebojsa Marinkovicが芸術的なミドルシュートを叩き込んだ。今季のJets戦全3試合は、全てグローリーの勝利となった。

 

 


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