Vol..118/2007/11
「新たな恐怖がビルマを覆う」

 今回のデモの発端は、燃料費の突然の値上げが引き金となっている。SPDCは、財政上の理由から値上げを説明する。だが、2005年10月に行った、莫大な経費を必要としたはずの首都移転の理由を一切説明していない。
 ビルマ市民に生活の不便を強いる一方で、自らの権力基盤の強固を続けているビルマ軍事政権。今回、長井氏の残念な事件をきっかけに援助政策を見直した日本政府だが、これまでの経過を考えると、日本の対ビルマ政策が有効に働いてこなかったともいえるのではないか。

 ラングーンの町中は、一見すると平穏な日常が戻ってきたかのように見える。だがそれは、軍事政権の下、自由のない、時に恐怖に支配された社会が戻ったに過ぎない。

 


10月15日付の国営紙(英字)では、国軍兵士の兇弾に倒れた映像ジャーナリスト長井氏の件にについて、「偶然の出来事であるため遺憾であるということ … 元々の気質は穏やかで、思いやりがあり、慈悲の心をもつミャンマー人にとって、自分の国に来た外国人がこのような目に遭って、どうして平気でいられよう」と述べているが、日本で長井氏の葬儀があったまさにその日、ラングーン(ヤンゴン)の長井氏が斃れた現場は、まるで何もなかったような日常だった。軍事政権としては、一日も早く過ぎ去ったこととして扱いたいと思っているような気がする(10月8日)。

   


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