定期的に意見交換する、元国営紙の記者JNさん(41歳)を訪ねてみた。
「これでこの政府の酷さがわかっただろう。彼らには話し合いという手段はないんだ。まるで動物だよ。アニマルだ。いつも暴力で抑え込むんだ。政府がテレビや新聞で流す嘘を信じていた人たちもこれで目が覚めたようだよ」
これからこの国はどうなるんだ。デモはまた起こるのか。「そうあって欲しいが、ハッキリいって期待薄だ。元学生の活動家もほとんど逮捕された。国連民主連盟(NLD)も指導部は動かない。スーチー氏は解放されないだろうし、望みだった僧侶も抑え込まれた。でも、人びとは諦めてないよ。いつでも次の準備ができてるよ。次のリーダーが現れさえすれば、人びとは動くよ。でも、そのリーダーが見あたらない。それが今、一番の問題なんだ」
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最大10万人を超える人がデモに参加したと言われている。だが、その盛り上がりが一段落して、軍政府はデモへの「参加者狩り」を始めた。外国人の泊まるホテルだけに限らず、今は一般市民向けに衛星放送を流す喫茶店も増えている。そこではデモの様子が生々しく放映されている。それを見ると、デモの参加者の顔が明瞭に映っている。「我々は民主主義を求めているんだ」と拳を握りしめ、声を上げている市民もいる。もちろん政府はこういう映像をチェックしている。平穏な日常が戻った裏では、外国人には見えないところで、新たな恐怖が人びとを支配している。
今日(10月11日)、国連安保理で初めてビルマに対する公式の決議がなされた。「一体それで私たちの生活が良くなるのか」。ラングーン郊外で小さな雑貨屋を営む私の友人は、そう言い切って口を閉ざした。
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