パースエクスプレスVol.111 2007年4月号

「ヒマラヤ山系−東の端から(1)」

 タイの首都バンコクで3月、ネパールから帰国する途中のWさんと再会した。Wさんからその時、小倉清子著『ネパール王制解体(NHKブックス/2007年)』という本を手に入れることになった。この本は、最近のネパール情勢を、おそらく一番正確に解説した著作であろう。まさに4月初め、ネパールではマオイスト(現在彼らは、本来の毛沢東主義とは異なる路線をとっている)が、政府の閣僚として政権の一部の座を担い始めることになったところだ。
 本の表紙の裏には、ネパールの歴史が簡単にまとめられている。
 「ヒマラヤの山峰に抱かれ、世界遺産都市カトマンズを首府とするネパール。平和に見える小国では21世紀に入っても、中世さながらの絶対王制が営まれてきた。1990年の民主化から数年、地下に潜った小政党は、毛沢東主義革命を目指し、武装闘争を拡大。たった2挺のライフルから、近代武器を備えた1万をこえる軍隊を抱えるにまで成長した。2006年の春、ついに動き出した何十万もの民衆が…」

 
ビルマ北部は山が深い。道を隔てる山々をつなぐ吊り橋を渡るクンシンディー。

 著者である小倉氏は2006年3月、マオイストの軍事組織の伝説的な司令官であるパサンと会い、インタビューしている。
 

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