パースエクスプレスVol.108 2007年1月号

「『デジカメ』一考−その3−」

  「デジカメ」を使い始めた頃、最初に手に入れた機種はさほど高機能でなかった。そのため、従来のフィルムカメラのようにマニュアル(手動)で被写体のピント(焦点)を合わせることができなかった。自ずと、「デジカメ」のAF(オートフォーカス)機能に頼ることになってしまった。その後、高機能の「デジカメ」を手に入れたのだが、一旦ピントを機械に頼ってしまうと、それ以後、自分の眼のピントに自信がもてなくなってしまった。いよいよ、写真を撮るのを、ほぼ完全に機械任せにしてしまった。露出も、機械に任せていなかった頃は、自分の感覚も結構当てにできた。ピントも、大体の焦点距離は目測できていた。それができなくなってきた。

  「デジカメ」を強く勧める人は、これまで失敗を恐れて写真を撮れなかった人も、バシバシシャッターを切ることができる分、写真の上達も早くなる、という。
   確かにそれも一理あるかも知れない。機械にできることは任せて、人間はできるだけクリエイティブな部分にエネルギーを注ぐべきだ、とも言う。だが、写真を撮るというのは、単にシャッターを切るだけではない。手の掌にカメラをのせ(それを肌で感じ)、眼をしっかり見開き、指先を駆使してピントを合わせる。その一連の身体の動きが脳に伝わり、目の前の現象を映像として切り取るのである。

   

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