パースエクスプレスVol.106 2006年11月号

「写真に思想と現実を写し込めるのか」

 国連安保理の場で今年9月、初めてビルマ問題が公式に議題に載ることになった。ビルマに対して強い経済制裁を求めていた米国の主張に、日本が賛成したからである。日本の外務省はこれまで、ビルマ問題は強硬論では解決しないと言い続けてきた。アジアにはアジアのやり方がある。制裁よりも対話で解決の道を探ろうという、いわゆる Constructive Engagement(建設的関与)によって、ビルマ問題を解決しようという立場を取ってきた。実は、昨年12月の国連内部の動きでは、米国によるビルマ問題の公式議題への提案に、日本は反対の意思を明確にしていた。だが、今年9月、小泉政権から安倍政権に変わってからビルマに対する日本のスタンスが変わった。
 それは、ビルマの軍事政権の存在を由としない、という理由でも、アウンサンスーチーの立場を支持するという理由からでも、アジアに民主主義を根付かせようということでもなかった。


  その立場の変更の主な理由は、「米国との関係を総合的に判断して」ということであった。簡単に言うと、米国の圧力の前に、忠実な犬らしくワンワンとしっぽを振ったからである。立花隆氏は、日本の外国人特派員協会に招かれた際、安倍政権を評して、これまで以上により強力に米国にすり寄った政府だと断言している。

   

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