そこに、その現場の正論が、日本において伝えられるべき人々にキチンと伝えられているか、ということまでには余り注意が払われていないようである。取材者として現場の緊急的な空気を知っているだけに、唯我独尊的になりがちなのである。

もちろん正しいことを言い続けるのはとても大切である。だが、それが有効的に受け入れられるかどうかは別問題である。伝える内容が知識のレベルで留まっているとしたら、異なった方法や表現を試してみるのも重要なのではなかろうか。

「正論は判りやすく単純だが、世の中の成り立ちはそれほど単純ではない」と言った人がいた。冗談のようだが、これも「正論」であろう。

私は、写真を撮り続け、その映像を元に報告や発表を続けている。それは、知識として現地を知ることよりも、写真を見て心を動かしてもらえることで、現実を一刻も早く変えられるのではないかと思うからである。知識で凝り固まった先進国の人の頭を、何これ？って何かを感じさせる写真でその凝りを解きほぐし、言語（論）ではなく、ココロを動揺させる映像の力を信じたいのである。

自らの頭の中にある正義正論を疑うことを、どうにかして行動に結びつけることができないか？