「自分は自分の主人公?」

 ハリー・ポッターは、親を殺された上、単身その敵と戦わなければならなかったから苦しかった。 ロッキーはチャンスに恵まれず、・・・。 ローマで休日だったアン王女は、・・・。 仮面ライダーは、毎週怪人が出てくるから苦しかった。 ベルリン天使は、・・・。寅さんは、・・・。 ニューシネマパラダイスは、・・・。 バカボンはパパがあんなふうだし、冬でも浴衣なので苦しかった。

 みんな苦しかった。主人公だから苦しかった。逆境もない主人公なんて、物語の歴史にはただの一人もいないから。あなたもきっと苦しい。なぜならあなたは主人公だから。あなたの人生の主人公だから。・・・・・。」

  この「人生相談室」の記事の2週間ほど前、同じ新聞に次のような広告が載っていた。旅行社の広告であったが、その謳い文句を憶えていた。

 

  韓国では、あなたが主人公です。
  −「ありがとう韓流」−
  韓国に着いたとたん、あなたは旅行者から映画やドラマの主人公に変わります。あのとき観た美しい風景の中で、主人公の感情やできごとが、まるで自分のことのようによみがえる。・・・・・。

  人生の主人公(人生をドラマ立てにした)、物語の主人公ってどういう意味なんだろうか。それほどまでに自分を中心に世界を生き抜きたいのか。何か引っかかった。 そう考えていたら、ずっと昔に読んだ、別の新聞記事を思い出した。

  1992年、今から15年前の新聞の切り抜きを引っ張り出した。河合隼雄さんの「おはなしおはなし」というエッセイである。その中で河合さんは、重傷筋無力症という病を患った江崎雪子さんの『きっと明日は』という闘病記を取り上げていた。

   


This site is developed and maintained by The Perth Express. A.C.N. 058 608 281
Copyright (c) The Perth Express. All Reserved.