「居心地の悪さ」

  米国で最初、女性の路上生活者を目にした時には、驚いた。最近、日本でも女性の路上生活者を見るようになった。日本はまさに、米国の後追いをしている。そういう路上生活者を目にする時、「先進国」と「途上国」の間に、大きな違いがある。先進国の「路上生活者」はほとんどが成人である。
  だが、途上国の路上生活者は、幼い子どもであったり、母親と子であったり、身体に障害を持った人であったり、「お坊さん」であったりもする。さらに、「物乞いの人」と「路上生活者」は違う。前者はこちらに迫ってくるのだ。

 タイでのこと。屋台や食堂で食事をしていると、ふと見ると真横に子供が立っている。「あっ、来た」と意識する間もなく、その子どもは手を差し出してくる。ビルマでは、何気なく町を歩いていると、行く手をふさぐように手を出してくる子供がいる。

  ビルマで2003年の1月1日、お寺に新年の参拝に行った。寺の前には、ずらりと物乞いの人が並んでいた。彼ら彼女達の差し出す手を無視し、時にはその存在さえを横目で見ながら、見なかったことにしていた。その度に、おそらくは多くの人と同じように、なぜか、 罪悪感を感じてしまう。
 罪悪感といっては、言い過ぎかもしれない。居心地の悪さである。さらにその居心地の悪さの原因がよく分からない。この不安定な感情はどこからくるのか。「ノーブレス・オブリージェ」に反しているからだろうか。いいや、そんな身分でもないし、簡単なことではないだろう。

 喉を潤すために飲むジュース1回を我慢すればいいこと。そうすれば彼らの期待にこたえることができる。毎日の無駄遣いから、ほんの少し分かち合うことをすればいいのに。
   


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