「『赦す』ということ 」

 実際、その遺骨発掘の現場に立ち会って、驚いたことがあった。
 グアテマラの首都グアテマラシティから乗り合いバスで約2時間、チマルテナンゴ県のコマラパ村での出来事。
 軍部は内戦時、各地方で自警団を組織し、政府に反対する言動をとるものを監視し、密告し、虐殺に荷担させた。先住民族達は、強制的にその自警団に参加させられた。自警団に参加しなければゲリラのシンパと疑われ、参加すれば同じ共同体のインディヘナを抑えつける役割を担ってしまう。内戦中にインディヘナの共同体社会は引き裂かれた。

 同じ共同体の一方が加害者となり、他方は被害者となった。戦後、彼らは同じところに住み続けなければならない運命を背負う羽目になった。旧軍部の施設であったコマラパの丘の周りには今、発掘と同時進行でコンクリートの壁が作られている。発掘をじゃまするためだ。
 発掘が進むにつれ、丘の持ち主である地主から早期撤収の催促が出されるようになってきた。今回の発掘が一段落すれば、その丘に立ち入りできないように、2m近い高さのコンクリート壁の工事が進んでいるのだ。
 

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