「忘れられた『虐殺の記憶』」 

 首都グアテマラシティから東北へ80km、チマルテナンゴ県コマラパ町の郊外。5月初めから遺骨の発掘作業が始まった。このコマラパの発掘現場は、「コナビグア」の創設者の一人、ロサリーナ・トゥユク氏自身の父親の遺体を捜す場所でもあった。「コナビグア」は団体としてこれまで、いろいろな場所での遺体発掘を主導してきた。1982年にお父さんが連れ去られてから22年後の今年、ロサリーナ氏はやっと自分の父親を捜す機会にたどり着いた。 遺骨発掘は原則として、それぞれの村人がボランティアで行うことになっている。だが、誰もが仕事を持っている(農夫・婦の場合が多い)。それゆえ、自ずと手が足りなくなる。そんな場合は、近くの村からも応援者が駆けつける。作業は、朝9時から夕方4時頃まで。昼休憩の食事は、数人のグループを作ったインディヘナの女性達が、週1回の持ち回りで用意する。
 コマラパの遺骨発掘は、地主との取り決めにより当初、7月3日までと限定された(最終的には6月30日終了)。

法的には、発掘作業に期限を切られることはない。だが、その土地で生活していく人にとっては、地元での過度の対立は避けることも必要で、ある程度の妥協は仕方がない。地主の期限は受け入れざるを得ない条件だった。6月の終わりになるにつれ、地主から、早期撤収の催促が出されるようになってきた。さらに、発掘現場(5km四方)の中心部は、期限後の発掘が行われないように2m近い高さのコンクリート壁が周囲に作られ始めた。

 

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