「歴史に翻弄される人びと」

 今回のカレンの停戦といい、2002年末から2004年1月までのビルマは、その歴史が動いたくらいの出来事が続いている。その動きを自ら、当地で体験しているのだが、毎日の普通の生活を続けていると、それだけの実感がない。歴史の中に生きる個人の存在とは案外、そういう無意識なものかもしれない。後で振り返って、「ああ、あの時、こんなことがあったんだな」と振り返る程度だけなのかもしれない。

 LMに会う2日前、KNUの事実上のトップであるボーミヤ氏に和平交渉の行方について話を聞いた。居留守を使わせないため、これまでと同じように自宅を急襲。いつもは苦虫を潰したような顔で出迎えられていたのだが、今回はちょっと違う。えらい柔和な顔をしている。

 

74歳のボーミヤ氏も、その人生の大半をカレンの独立闘争のために捧げた。ビルマ軍政との闘いは人生の全てだったろう。暮れゆく夕日を浴びた彼の横顔は一見、満足そうな笑みをたたえているようにも見える。
   


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